第63話鬼とJKと勧誘

話し合い、終わったかな。多分だけど空気悪いと思うしユキメは来るかもとか思ってたけど誰も来ない。


もしかして予想よりも雰囲気悪くなってたりして。


ちょっと様子見てみよ。


ーガチャ「あれ?鬼?」


「!。よお、もう機嫌はいいのかよ。」


「いいわけない。なんであんたが私の部屋の前で座り込んでるの?まさか聞き耳立てて…」


うわぁ。私たぶん今、すごいゴミを見る目をしてるんだろうなぁ。


疲れた顔した鬼が私の部屋の前で待機してた。

なんで。


「違ぇよバカ!!…お前の母親、前帰ってきた時色々やらかしたろ。」


「…。あ。そう言えば。」


「忘れてたのかよ…。だからその。見張りだ。」


「ふーん?」


見張りねぇ。


追加で買い物行かされて追加の夜ご飯作らされてかなり疲れてるだろうに。


なんでここまでするかな。


ーストン…


「なんだよ?」


「別に。座りたいから座ってるだけ。」


「なんだそれ?風邪ひくだろ、布団潜ってろって。」


「その羽織着るから平気。」


「追い剥ぎか?」


ったく。って言って隣に座った私に羽織をかけてくれてる。


…かけてるって言うか。これは羽織を着ている鬼の脇にスッポリと収められたと言うか。


「何この体制」


「俺もさみーんだよ。こっちの方があったけーだろうが。」


「変態。」


「うぐ、、。…嫌か?」


「言ってないでしょ。しょうがないからコレで許してあげる。」


「へぇへぇ。」


二ッなんて嬉しそーに笑っちゃってさ。


なにがそんなに嬉しいやら。とか思って静かにしてたら無言の時間が流れてった。


「なぁ、木葉。」


「なに」


「その。里に来る気ねぇか」


「は?突然なに?」


あーいやー。って歯切れ悪いな。


呼ばれたから何かと思えば、里に来る気ないかって。なんでよ?


「ト、トモナだって待ってるしよ。里にいても周りの奴らと普通に馴染めてるし。悪くねぇだろ?」


「…」


「どうだ。」


頬をかいてそっぽ向きながらどうだ。だって。


「それだけ?」


「なにが。」


「里に誘う理由。」


「…」


それだけか。なら別にわざわざ妖怪の里で暮らす必要もないじゃない。


たまに遊びに行けばいいんだし。


アホくさ。


「むす。」


「俺が…」


「?」


「俺が来て欲しいだけだ。悪いか。」


「…」


「俺はこれでも一応里守だ。何年先かは分からなくとも必ず里に帰らなくちゃならねぇ。」


「そうだね。それは分かってる。」


いくら傍にいるって約束してたとしても、鬼が帰る時は必ず来る。


それは分かってるつもり。


そして帰った時には婚約の話もちゃんとまとまると思うんだ。


人間の人生なんて妖怪から比べたら圧倒的に短いし。妖怪は妖怪と婚姻すべきだってのも理解してる。


なのに里に来ないかって…。


「俺はお前との約束を破るつもりはねぇ。」


「帰る時が来たら忘れていいよ。でもちゃんと挨拶はしていきなさいよ。黙って帰ったら里に行って殺すから。」


「そんな死刑台に自ら登るかよ。お前は絶対殺るからな。てか忘れていいわけあるかよ」


「その約束が足枷になるなら忘れるべきじゃない?私は平気ーっ。」


ビックリした…いきなり抱きしめられた…


しかもちょっと力強いし。


もしかして怒ってる?


「スゥーハァ-))木葉。俺はお前といてぇ。ダメか?」


「ーっ。ダメもなにも…」


「平気なんか言うな。少なくとも俺は平気じゃねぇ。お前と離れるのも今じゃイマイチ味気ねぇしな。」


「…。」


「だから。里に来るのも悪くねぇだろ?な?」


って。なにが”な?”なのか。


妖怪の里かぁ…


「か…考えとく。高校は卒業したいから。」


「おーよ。それと俺の婚約の事とか気にすんなよ。どっちみち妖怪と婚約なんかしねぇし。」


「あっそ。それより話は終わり?」


「おう。お前を正式に勧誘したかったんだ。」


「へぇ。じゃぁそろそろ離してよ。誰かに見られたらどうすんの。」


「…しょうがねぇな。もう少ししたら離す。」


「ってあんたねぇ」


見られる事、考えてないの?


もう少ししたらって、恥ずかしい奴。








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