第53話ご愁傷さま鬼と殺意のJK
妖怪の里が危ないから助けてくれってミニタヌキに言われて来てみたけど。
荒れてるなぁ。戦の真っ只中!って感じ。
そんな荒れた里の端っこに古い小屋みたいのが建っていて中に案内されたけど。
「あ、タヌキ発見。死にかけてんじゃん」
もしかしてココ、非戦闘員の避難場所かな?
「ぬ?木葉!?なぜここに来たんじゃ!!」
「ミニタヌキに応援要請された。私が渡した水鉄砲は?」
里帰り前、タヌキが『里の者達に珍しい武器を見せてやりたいんじゃが、何かないかの?』って相談受けてた。
だから聖水を入れた聖水鉄砲を大量に渡しておいたんだけど…
もしかして使い切ってた?怪我したタヌキが女子供達に紛れて休んでる。
「ちょっと!なんなんだいこの人間の小娘は!?この非常時にめんどくさいの連れ込むんじゃないよ!!」
「わっ、わっ!やめんか無女!!木葉にそんな事言ってはならん!!」
「いーよ、非常事態だし。今回は大目にみるよ。さてと、この小屋の周りの妖怪蹴散らせばいいの?」
「あの木葉がか!?た、たしかに小屋周りの妖怪を蹴散らせばよいが…」
「そう。じゃ殺ってくるよ。」
「木葉?!」
なにあれ、とか。人間のクセに調子乗ってるとか。散々な言われようだなぁ。
文句言ったやつ全員顔覚えたからな。
「待ってくれ木葉!!」
「むっ!?なんじゃ人間!?迷い込んだか!?」
「違うよ。ミニタヌキに連れられてきた応援。タヌキ、あんた大声だして里の味方に逃げろって言いなよ。じゃないと無差別に行くから。」
「はぅあ!?!さ、里の者!!命が惜しければ逃げるんじゃぁぁぁ!!!」
外に出て知らない妖怪と言葉を交わして。タヌキが慌てればなんだなんだ?って殺気立った目が私達に集中する。
殺伐としてるなぁ。そりゃ戦だもんなぁ。
「さてと。それじゃぁ一投目!!鬼はぁぁぁ外ぉぉ!!!!」
バラバラバラ!!!
「は?豆?いやコレはっ」
『ぎゃぁぁぁぁ!!!!』
ただの豆なわけないじゃん。
もしも鬼が帰ってきたら少し早いけど豆まきしようと思って、神社の聖水で洗った後、清めの塩でコーティングして破魔札作る要領で念を込めたガチ豆まき用の豆よ。
作るの大変だったけど役に立ってよかったわ。
「ふん。ほら第二弾行くよ。ミニタヌキ部隊!前出な!!」
「はいっす姐さん!!」
「誰が姐さんだ。聖水鉄砲、発射!」
「「「やぁぁぁ!」」」
『ぎゃぁぁぁぁ!!!!』
小屋を囲むみたいに並んだ沢山のミニタヌキ達が装填させた聖水鉄砲を浴びせまくる。
巫女だ!!巫女が味方についてるぞ!?って言いながら敵の妖怪達は逃げて行ったみたい。
ざまぁみろ。
「すごい…あれほどいた敵を二投で追い払ってしまった…」
「心強いのぉ。ほれ木葉、早く小屋に入らんか。ここは避難場所じゃ。」
「何言ってるの?タヌキ。私これからトモナにお酒届けるから。」
「トモナに!?最前線じゃぞ、行ってはケガする!!」
「大丈夫。ついでにあの鬼も仕留めるんだ。」
「うぬっ!?イツキ…何をしたんじゃ。」
「はぁ!?イツキを始末ですって!?冗談じゃないわ!!」
ひぇって後退りするタヌキをズイッと追い越して、最初私に絡んできた無女?がまた突っかかってきた。
ぬって顔面よせられたけどのっぺらぼうでパーツが何もないな。不思議な妖怪。
「なに。また文句?」
「そうよ!!イツキはこの戦が終わったら私と婚約するの!!巫女なんかに始末させないわ!!」
「…へぇぇ?そうなんだ?((ニッコリ♡」
「ひっ!わ、私に巫女の力は通じないわよっ」
「誤解じゃ木葉!!イツキはまだ誰とも婚約の話はしとらん!!落ち着け!!」
やだなぁタヌキ。
それじゃ私が婚約話聞いて怒ったみたいじゃん。
そんなわけないのにねぇ。
「怒ってないよ?ただ婚約がまとまって出ていくなら一声かけるべきじゃない?1年近くも家に置いてあげたんだから。」
「でも顔が怖いぞ…」
「ふん。あんた無女だっけ?手伝ってもらうよ。」
「はぁ?!なんで私が人間のしかも巫女なんかの言うこと聞かなくちゃいけないのよ!!嫌よ!!」
嫌よ、って。非常事態だって知ってて言ってんの??
まったくキーキーうるさいんだから。
「すぅ。もう一度言うよ。い・く・よ。私の手が出る前にYESかハイか聞かせてくれる?」
「声のトーンが落ちとるっこれは絶対に拒否を認めぬな…。」
近すぎる無女の顔面スレスレをビュッ!!と音を鳴らして手をカスめれば少し震えて「はい…。」って返事した。
行く気あるなら最初から反抗するなって話だよ。まったく。
「目にものを見せてやる。」
あいつ。謝っても許してやんない。
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