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 ボクの人生はつまらないものだ。

 あの頃の栄華の影はなく、荒廃しきって、自然に飲み込まれようとしている。それほど、誰かの記憶に残るでもなく、忘れ去られるのを待つだけの、生きる屍。

 誰の記憶にも残らないなら、消えやすい。気にかける人なんて誰もいないわけで。もう誰も、ボクなんか気にかけない。

 朝起きて六枚入りのパンを食べる。口が食べ物を欲しているときか、空腹になる以外はそれ以降の食事はしない。

 高校に行っているわけでも、何処かに働きに出るでもない。ニートと言われようが反論できない状態だ。

 朝起きて、パンを食べて、ネットとゲームと読書で一日が消えていく。ボク以上に命を浪費している人間がいる気がしない。人の形をした粗大ゴミだと自分でも思う。

 もしボクに『生きたいのに生きられない人がいる』と言う人がいるなら、生きられないその人に、一日だけ残してボクの命を、残り時間を全てあげたい。残した最期の一日は、ゆっくり最期を謳歌しようか。いままでの人生を無下してきた輩が何を言うって?それはボクも思ってるよ。でも何か、本当に最期だと思えたら何かあるかもしれないんだ。たとえば、まだ生きたいとか、これでやっと死ねるとか。ここでまだ生きたいと思えたらその一日だけでも充実した日になるかもしれない。

 家を追い出されてもなお、親の金で生活しているのはなんだろうな、馬鹿げた話に思える。そこらへんで野垂れ死なれても困るのだろう。世間体とかそういう話。追い出した時点で悪いとは思うのだが、それは知らない。

「はぁ…」

 今日初めて出した声がやけに低かった。でもこれが、いま自然と出る声だ。ボクの地声ってそこそこ高かった気もするんだが。…ま、どれがボクの地声かなんてわからないんだけどね。

 悲しいことなのか、そもそも生命維持がめんどくさい。カレーを食べるにもじゃがいもとかにんじんとかいう具材じゃなくてスーパーのレトルトを白米炊いてかけるだけ。基本、パンを食べてさえいれば生きていけるから毎日食べてる。火を使うこともないし、皿を使うわけでも、箸を使うこともないから、洗い物がなくて楽だ。でもたまにパンだけじゃ飽きるから、クレープやケーキを買って食べる。レトルトのカレーもパスタも滅多なことでは口にしない。家を追い出されてから包丁を握ったことはない。

 その代償か常にちょっと具合悪いし、健康体とは言えない。ふらつくのと視界が白くなるのは日常茶飯事だし、毎日身体の何処かが痛みを訴えてくる。そんなんだから毎日死亡フラグ。

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蘇りの花 夜桜夕凪 @Yamamoto_yozakura

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