第27話 まじかる☆ふぁいあ

 ○お試しスキル 【 ○ ○ 】

 ‐魔法少女になりたてのあなたへ。

 ‐楽しい魔法少女ライフを満喫するために、特別に2つのスキルを一度だけご使用いただける権利をご提供致します。


 ○まじかる☆ふぁいあ

 ‐基本である炎の魔法。

 ○まじかる☆めてお

 ‐隕石を降らせる上級魔法。

 ○まじかる☆どこでもエレベーター

 ‐千界管理部の備品で、登録した場所にならどこでも行ける。

 ○まじかる☆ばなな

 ‐ひと房98カインを払えばバナナを呼び出せる魔法。食料には困らない。

 ○あい きゃん のっと ふらい

 ‐ つ ば さ を う し な っ た わ た し は も う と べ な い 。



 …とある変化が気になるが、順番にいこうか。


[1] 『まじかる☆ふぁいあ』基本魔法について。

 やっぱり魔法使いといったらこれだよ。

 こういうのを待っていたんだよ。

 これ、第一候補かな。


[2] 『まじかる☆めてお』上級魔法について。

 いきなりお試しで使えるのは魅力的に思えるけど、使うのにちょっとためらいがある。

 なんか、さっきのエクストラスキルといい、危険な匂いがプンプンするんだよね。

 これは、保留で。


[3] 『まじかる☆どこでもエレベーター』千界管理部の備品について。

 確かに、例のドアの中に入ったらエレベーターの箱みたいだった。

 それはともかく、スキルとか魔法じゃなくて備品(ドア)なのか…。

 ああ、備品(ドア)の召喚魔法と解釈すればいいのかな。

 備品の勝手な持ち出しとかで、後で文句とか言われないかが心配だが、行けるなら、3210ミツヒレのところへ直談判に行こう。

 ということで、これは第二候補に入れておこう。


[4] 『ままじかる☆ばなな』について。

 これって、バナナの契約やっぱ成立してたってこと?

 どちらにせよカインだっけ、この世界の通貨みたいだけど持ってないから今は買えない。

 候補からは外れかな。


[5] 『あい きゃん のっと ふらい』について…。

 そもそも、これスキルなの?


 >○あい きゃん ふらい

 >‐ わ た し は と べ る 。


 変化前はこんなのだったけ。

 つばさって、あの『まじかる☆ういんぐ』のことか?

 背中を見るが、勿論そんなものは蚊コス衣装と共に消滅していた。

 でも、あれって飛翔能力無しで風が来るだけ(『ぷーん』という騒音付)じゃなかったっけ。

 あの羽で崖の上から「あいきゃんふらい」と叫んで飛ぼうとする自分を想像する。

 そのまま自由落下する未来しか見えなかった。

 いや、これ飛べなくなって正解じゃなかろうか。

 もう一回言う、これってスキルなの?

 もしかしたら、『まじかる☆ういんぐ』さんの飛びたいと切に願う心の声だったのだろうか。

 当然だけど、これは論外だから。



 結局は、無難なところから、『まじかる☆ふぁいあ』を使うことにする。

 森の中だけど、水場(泉)も目の前にあるし、怪しげなスキルが並んでいるので不安拭えないが、基本魔法ゆえそれ程危険はないだろう。

 まじかる☆アイとかエクストラスキルも使ったが、魔法使いとなれば、やはり属性魔法ですよ。


 おっと、その前に一声かけとくか。

「蚊―くん、危ないからちょっと離れてて。」

 うっかり蚊―くんに当たりでもしたら大変だ。

 たとえ初級の火の玉でも、れべる1の蚊―くんではひとたまりもないだろう。

 まあ、残機で復活できるだろうけど、最小化復活後の人化で1万消費は痛い。

 あまり減りすぎると、血を吸わせなきゃいけないからなあ。

 蚊に血を吸われるのって、なんとなく生理的に受け付けないよね。


「うん、わかった…。」

 そう言った蚊―くんの視線。

 それは、先程の呪いと改名の件を話した時からずっとだった。

 衣装についても、呪いを解呪したことで変わったと話している。

 問題は、藁の服の腰から下の短さにあるのだろう。

 言うなれば結構なミニスカート状態である。

 彼は凝視に近い形でずっと、まりもの藁のスカートの裾辺りを見ていたのだ。

 まあ、あの年齢位だと仕方ないのかなとも思う。

 自分だって、あの頃を考えると男としては理解できるのだ。

 だが、それが行動に結びついて、自分の身に不幸が降りかかるのだけは勘弁である。

 そう、ぱんつはいてないことは、バレてはいけないのだ。

 いくらカワイイ顔をしているとはいえ、本性はエロ羽虫だ。

 今現在、この短い藁のスカートから出ている生足は蚊―くんエロ羽虫にはさぞや目の毒となっているであろう。

 遠ざけたのは、万が一のエロ羽虫的行動への警戒の意味もあった。


 さて、蚊―くんエロ羽虫が少し離れたのを見届けてから、泉の方へ向き直った。

 ワクワクとしながら、でも一抹の不安を抱えたまま、スキル名を発した。


「まじかる☆ふぁいあー!」





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【作者より】

 いつも、お読みいただき誠にありがとうございます。


 <前話での蚊ーくんのマスコット化の残機消費について>

 最初に1000と表記していたのに、後の表記が100になってました。

 後の表記の方が正しいので、100に修正致しました。



※ちょっとメモ書き失礼します。

『まじかる☆どこでもエレベーター』は、第7話の冒頭で出てますね。

 それ以前にもドアだけは出て来ていますが、中の箱に入ったのはここだけです。

『バナナ』関連は第8話とんで第10話あたりでしょうか。

『まじかる☆ういんぐ』は第18話冒頭に出てきています。

 お試しスキル一覧は第24話の後半に出てきたのですが、作者自身その時も探して、今回も探してと、非常に面倒だったのです。

 よろしければ、お役立てください。



 それでは、今後ともよろしくお願い致します。

 以上、にしき斎でした。

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