第18話 変身解除の方法は…
そういえば、背中についてる2枚の羽については、衣装では何も表示がなかった。
首だけ振り返って羽を見る。
<まじ蚊る★ういんぐ>
まじ蚊る★まりも専用に作られた羽。
暑いときにパタパタすると、涼しい風蚊゛来るよ。
尚、飛翔能力は備えていない。
※衣装とは別売のオプション。
⏎
パタパタは羽の下側についていたネジを巻く方式だった。
確かに風は来るのだが、『ぷーん』という音を発するので二度と使うことはないであろう。
とにかく、役に立たない事だけは分かった。
見栄えの悪さから飾り羽としても無意味、わざわざオプションとして着けるとか意味わからない。
よし、仕切り直して待望の【理】さんの確認だ。
要らないと思うけど、もう一個【才】の方も一応ね。
[7] 『魂宿:【まじ蚊るの理】』について
<【まじ蚊るの理】>
精霊契約により『山城守』に『ウイングスター』が
契約の代償は、【界・蚊トレア】を滅びの運命より救うこと。
資質は【才】【達】【極】【理】の4種あり、【理】は最上位の資質を秘めている。
・派生スキル
‐● まじ蚊る★ちぇんじ (れべる1) 《発動済》
‐〇 まじ蚊る★アイ (れべる1)
‐〇
‐○ お試しスキル
⏎
なるほど、『魂宿』は魂に宿ると書いて、そのまま『たまやど』って読むのね。
文字通り魂に宿る力ってことだろう。
うーん、【理】さん最高は証明されたけど、『まじ蚊る』の内容の具体的説明が何一つされておらず、結局謎のままなのが残念だった。
契約の代償かあ、確かチートくれたら世界を救うよみたいな感じだったけど、故郷の世【界】を救うことと解釈されたということかな。
しかも、双方の合意とかはっきり交わしたのではなくて、ふわっと思考しただけだったんだけど、それでいいのか?
いい加減だなぁ、精霊契約。
契約の代償にある【界・蚊トレア】を滅びの運命より救うって、 下手すると魔王討伐より難易度高くなりそうで怖い。
しかも『うぃんぐすたぁ』のアレな感じも含めて考えると、不安しか残らない。
そして、派生スキルである。
上ふたつは確認済みなので、下ふたつを見てみよう。
<
魔法少女固有の
⏎
<お試しスキル>
魔法少女になりたてのあなたへ。
楽しい魔法少女ライフを満喫するために、特別に2つのスキルを一度だけご使用いただける権利をご提供致します。
⏎
とりあえず、どちらも使ってみないことには何とも言えないと思う。
特に、お試しスキルは、その2つに何が使えるのかすら分からないという不親切さときた。
[8] 【44106ー3210の才】について
<【
メイン能力は異世【界】言語サポートであり、未知の言語であっても自動で最も馴染みのある日本語に置き蚊えられて魂で理解出来るようになる。難点は、全て自動翻訳された後の状態で本人に届けられるので、元の言語は一切分蚊らなくなることである。
その他、システム蚊ん理者の権限の範囲内において、細や蚊なフォロー蚊゛出来るようになっている。
契約の代償は、得た【エネルギー】の3パーセントを蚊ん元すること。
資質は【才】【達】【極】【理】の4種あり、【才】は資質としては最も低い。
⏎
44106ー3210
システムーミツヒレ、前の数字も語呂合わせだったのか。
つーか、ミツヒデの誤字じゃなくて本名ミツヒレなの?。
面倒なのでミツヒレにしておこう、システムもステータスもそう言ってるし。
そして、自動翻訳機能は、元が分からなくなるのが難点だが、意思疎通を図れれば良しとしておこう。
さらに、このウインドウ表示機能、ミツヒレ固有らしい。
言われてみれば、ここに来る前に聞いた気がする。
目の前に浮いている、ウインドウと呼んでいるものを改めて見つめた。
ということは、疑似精霊契約しなかったら、今の説明も可視化されなかったってこと?
あれ、考えてみるとコレないと、『まじ蚊る★アイ』って役立たずじゃね?
そもそも、スキルってどうやって知るのって話である。
頭に自然と浮かぶとか一切なかったし、このウインドウにあったスキルの記載を見るまで、どんなものがあるのか知らなかったし。
考えてみると、結構綱渡りしてたのか…。
うーん、ミツヒレのおかげとかあまり考えたくないから、横に置いておこう。
そもそも、フォローとか書いてあるけど、嫌がらせも出来そうな気がする。
というか既にされてる。
最初の『ステータス』実装中止の件とか、間違いなく確信犯だろう。
それと、細やかなフォローしてくれるって話だけど、確実にフォローだけじゃ済まない気がする。
警戒しておこう。
契約の代償は、【エネルギー】という名の経験値3パーセント還元とあるが、 無理は承知だが、気持ち的には踏み倒したい。
資質【才】で自動翻訳とかできるのだろうか、タブレット持ってたしAIとか使っている?
派生スキルは【まじ蚊るの理】と違ってないっぽい…。
そういえば、システムウインドウや自動翻訳ってスキルじゃないの?
謎が残った。
とりあえず、ステータスの確認は終わった。
HPとか数値は出てこなかったのは残念だけど、そういう仕様なのか、はたまた単にれべるが低くてまだ見れないか。
ただ、数字は見れなくても、能力とか見れるというのは大きなアドバンテージに違いない。
戦闘面のスキルについては、今後のれべるアップに期待しよう。
お次は…、『
やっぱりあの『蚊』だよね…。
今までに名前が出てきた『ウイングスター』ってのが多分そうなのだろう。
今にして考えると、契約で魂に精霊が宿るということは、死んでも抜けた魂がこちらの魂に宿ることになるので、そこから復活は可能という解釈でいいのかな。
呼べば必ず出てくる。
何故か確信できた。
でも、叩き潰した事実が消えるわけじゃないし、後ろめたい。
あと、その相手に関しても、秘宝のステッキとか見てもヤバい奴感が漂っているので不安が消えない。
様々な思いが重なって、気が進まなかった。
とりあえず、ひとつ飛ばして、お試しスキル行っとこう。
<お試しスキル>
使用する前に、
⏎
逃げ道は塞がれていた。
くそぅ、やはり呼ばざるを得ないのか。
いや、まだだ。
なにか先にやらねばならない大事なことがあった筈。
(そうだ、元に戻る方法だ!)
それを確かめないと。
単なる先送りなのはわかっているけど、心の準備の時間が欲しい。
しかし、スキルやステータスのどこを見ても変身解除の記述は見当たらなかった。
こうなったら、いろいろ試すしかない。
「まじ蚊る★解除」
フッっと、目から力が消えた感じがした。
ウインドウから文字も消えた。
どうやら、『まじ蚊る★アイ』が解除されたようだ。
「まじ蚊る★ちぇんじ解除!」
何も起こらなかった。
大きな声で、再度試すも同様。
「じんぇち★るかじま!」
逆さ言葉もだめだった。
ならば、中年に変身するワードを…。
「おじかる★ちぇんじ!」
語感としてはいい感じ。
「おじさん★回帰!」
回帰しなかった。
「自分は★中年!」
ただの確認に終わった。
「現実★直視!」
なかなか難しいよね。
「おじさん★キモイ!」
自分で言ってショックを受けた。
「キモイは★おじさん!」
…あれ?
「……★……!」
………。
「…★…!」
……。
「…!」
…。
「ぜーはー、ぜーはー。」
最後の方はただの自虐だった。
惨めになっただけだった。
ふと、ひとつ疑問に思う。
「キモイ」と言った少女ボイスに、脳が痺れた気がしたのは何故だろうか。
その疑問の答えを出すのは非常に怖かったので、そっと自身で疑問に蓋をした。
結論。
戻る方法が分からない。
魔法少女から元の姿(中年)に戻れない。
由々しき事態であった。
いや、まだ決まったわけじゃない。
そう、先送りにしていた『
そうだ、今すぐお呼びしなければ!
心の準備とか、今はそれどころではないのだ。
「
凛とした声が辺りに響き渡った。
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