第48話 新しいクエストで喧嘩勃発

 しばらく言い合いをしていると、


クエストを受注したい人がクエストを受注できず人だかりができてしまう。


なんとか止めたいのだが……


「だからぁ! B級やろ!」


「S級に行けばいいのよ!」


「C級で役割を―――」


言い合いはさらにヒートアップ、とても収まりそうにない。


ルイさんは各々の役割の再確認がしたい、


エマさんは有名なモンスターを連携して倒したい、


スピカさんは高いランクをただ行きたい。


さて、どうしたものか……


僕が悩んでいると、クエスト広場の人が新しいクエストを張り付けた。


「「「ん?」」」


3人は張り出されたクエストをまじまじと見つめた。


横から冒険者がそのクエストを見ると、手を伸ばす。


「お、これいーじゃん、もーらい……」


その冒険者よりも先に手を伸ばす者がいた。


それはルイさんだった。


隣の芝生は青いとはこういう時に使うのだろうか?


他人がいいと思ったものを誰よりも先に取るとは……


冒険者はエマさんに胸ぐらをつかまれ物凄い形相で迫られる。


「おい、こら、これは私らが目を付けたんやで? 譲ってもらうで?」


「は、はいぃ!」


あまりの恐怖に冒険者もその場を後にするように逃げて行った。


もはや脅しだな……聞いたことないぞ勇者のパーティが脅すって。


「どうする? とっちゃったよ無意識で」


「そう……ですね、でもこれいいかもです!」


ルイさんはクエストを見てすごくはしゃいでいる。


「どれどれ? え~、クエストの内容は【魔獣ケルベロスの討伐】? モンスターの討伐か、いいやん!」


「階級はA級、これなら十分暴れられるかも!」


「ケルベロスの住む場所までは3人の役割も確認できそうですね!」


どうやらクエストは決まったようだ。


3人は和気あいあいと話している。


「ハイド様! これに決定しました!」


「ケルベロスの討伐……いいですね。3人の意図がしっかりと盛り込まれた、いいクエストだと思います。僕はあくまで補助、何かあれば助けますが基本は3人でクエストを達成してくださいね」


「なんだか面白くなりそうですね」


「ってかFランクの私らがA級のクエスト受注ってやばない?」


「まぁ、少しは成長したんじゃない?」


こうして僕たちはケルベロスの討伐をすることになった―――

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