第13話 ルイの単独行動

 今確かに女性の声がしたな。


聞いたことがある声だ。


「今の声……ルイと違うか?」


「嘘……ほんとにここにいるの?」


「2人は少し休んでいてください、僕が助けに行ってきます!」


中にルイさんがいる……しかも悲鳴を上げているという事は、何かあったという事だ。


僕は急いで中に入っていった―――


数分前

―――私は神父さんの話を聞いて、いてもたってもいられなかった。


他人の大切なものを奪うなんて……絶対に許せない!


話しを聞いてすぐに教会を飛出し、教会の人達に話を聞いた。


盗賊団が拠点としているところは割とすぐにわかった。


S級クエストだからってほっとけるわけがない、


屋敷の物陰から出入り口を覗いていると、


盗賊団の人達が出入りしているのを目撃した。


間違いない、彼らが盗ったんだ。


どうやって突入しようか? みんなを待った方がいいのかな?


でも1人で来ちゃったし、ここは私1人でどうにかするしか―――


ポンポン


肩を叩かれた。


みんな追いついてくれたのかな?


私は後ろを振り返った。


そこには見知らぬ男が3人ほどたっていた。


ニヤニヤとしながらこちらを向いている。


「おぉい、ここで何してるんだ?」


「覗きはダメだろうお嬢ちゃん」


「どうせ教会に頼まれでもしたんじゃねぇの?」


マズイ! このままだとやられる!


私は咄嗟に身構えた。


だけど、攻撃魔法も武器もろくに使えない私は、いとも簡単に捕まってしまった。


屋敷の中を案内される。


部屋に連れてかれた私は、手首を縛られたまま、男の前に放り出された。


「ほぉ、お前かウロチョロしてる小娘ってのは」


「あなたがこの盗賊団の親玉ですね!?」


「ジードだ、この辺じゃ名の知れた盗賊だと思ってるんだが、俺たちに歯向かうやつがまだいるとはな……」


この男がジード、大柄で、毛皮のコートを羽織っている。


かなりの筋肉質……おそらく腕力では勝ち目はない。


「あなたたちが盗んだ神木の女神像、あれは教会の人達が大切にしているものなの、返してください!」


「そりゃ無理な相談だな、盗んだものを『はい、わかりました』って返す盗賊団がいると思うか?」


ジードは豪快に笑って私を嘲った―――

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