ウザイ同級生女子の目の前で首吊り自殺してみたら驚くほど素直になってめちゃくちゃ尽くしてくるようになった、ついでに何故かクラスで一番可愛いアイドルも俺に尽くしてくるようになった
にこん
第1話 死んでみた
「ぷぷぷっw桜泉くんってぜったい童貞だよねwみんなヤリまくりだって言うのにwだっさw」
「はぁ?」
不思議そうな顔をしている修也を見て白石 乃亜は補足した。
「ぷぷっ。私たちがこの異世界に召喚されてからもう一週間だよ?クラスメイトの男子みんな娼館とか奴隷買ったりしてるのに桜泉くんにはそんな気配ないもんねw」
修也もその話は聞いたことがあった。
修也たちが異世界に勇者として召喚されたのは一週間前のことである。
クラスごと勇者として召喚されて、スキルやジョブ、軍資金を与えられ魔王討伐を任命された。
それから一週間、他のクラスメイトは軍資金で奴隷を買ったり、と割と好き勝手やっているみたいだが、修也はそういうこととは無縁の生活を送っていた。
修也は乃亜にひとつ質問をしてみることにした。
「ひとつ聞きたいんだけど俺に童貞煽りしてなんか楽しいの?」
「楽しいよwうぷぷ。このご時世でまだ童貞なんて馬鹿にされるに決まってるよw生きてて恥ずかしくないの?童貞ってw」
乃亜は数秒間修也を馬鹿にするように笑ってから口を開いた。
「そういえば、桜泉くん、誕生日だったよね?今日」
「そうだけど?」
「童貞で非モテな桜泉くんのために、かわいい乃亜ちゃんが誕プレ用意してあげたから期待しててねw」
(どうせロクなもんじゃないんだろうなぁ)
「この前【キラーカマキリ】倒したでしょ?おなかから出てきたハリガネムシで作ったチョコレートwやったね。女子からのプレゼントだよw」
修也は読んでいた本をパタンと閉じた。
彼が読んでいたのはこの世界に存在するモンスターの詳細が記された本だった。
そこそこの値段がする本。
彼は王族から与えられた金を無駄遣いせずにこういうところに投資するマメな性格だった。
本を閉じたのには理由がある。
読む気が失せたのと、それから乃亜のことを視界から消したかったからである。
修也は椅子に座っていたが立ち上がった。
本来はこの部屋にいなければいけないのだが、今の修也にはこの部屋にいる価値も感じられなかった。
「どこ行くの?」
「部屋に忘れ物をしたから取りに帰る」
「桜泉くんってどんくさそうだよね。帰り道で転けないようにしてねwぷぷーっ」
修也はこの部屋を出た。
部屋の表札には【パーティ16の会議室】と書いてあった。
修也たちがこの異世界に呼び出された時、16このパーティに分けられた。
そして、修也のパーティはパーティ16と名前を付けられた。何か話し合いたいことなどがあるとこの部屋に集まり会議などを行っていた。
ちなみに修也が乃亜と関係を持ち出したのは異世界に来てパーティを組んでからのことである。
それまでは乃亜と修也の関係はほぼなかった。
パーティを組み一緒に過ごしている間に距離が詰まっていった、という感覚だ。
特に異世界転移してから4日経過した後くらいに乃亜は頻繁に修也に絡んでくるようになった。そのときくらいから修也のことを小馬鹿にしたような感じで絡んでくるようになっていた。そして今日は初めての童貞煽りをされていた。
絡まれるようになったキッカケは修也には分からなかった。修也はこのとき初めて乃亜のことをウザイと感じていた。
部屋を出るとすぐに別の女生徒と鉢合わせた。
そこにいたのは流れるような黒髪の女子生徒。
修也のクラスで一番かわいいと噂の東堂 恵という女子生徒だった。
「あら、桜泉くん。どこにいくの?」
「忘れ物したから部屋に帰る」
「そうっ。あなたが忘れ物なんて珍しいね。気をつけて」
修也は返事をしなかった。
そのことに対して恵は(あれ?)と微かな違和感を覚えた。
彼の性格を熟知している恵は些細な変化も見逃さない。
「桜泉くん、なにか困り事があったら相談してね。なんでも乗るから」
「困り事なんてないよ」
修也はスタスタと自室に戻っていった。
現在修也たちのいる施設は勇者養成所と呼ばれている場所で、これは女神が勇者のために建設した施設である。
生徒一人一人の個室が与えられており、もちろん修也にも存在している。
修也は個室に入るとアイテムポーチから【ロープ】を取りだした。
クローゼットを開けてロープの片側をハンガー掛けにくくりつけた、その際、ロープの反対側にそこそこ大きめの穴を作り出す。
そして、その近くに小さな椅子を持ってくると、椅子の上に立った。
ロープの輪っかを首にかける。
「死ぬか。俺の死体見た時の白石はどんな顔するのかな?まだあんなウザイ言動してるのかな?ちょっと気になるなぁ」
椅子を蹴り飛ばした修也。
修也の体は完全に宙にプラプラと浮くことになった。
「げっ……」
首が絞まり声が出ない。
脈が締まっていき、どんどん息ができなくなる。
5分後、脳にはほとんど酸素が回らなくなり、彼の意識はどんどんと薄れていき、やがて……完全に落ちて。
脳が死ぬことになった。
完璧に死んでいた。
だが、このとき。彼の持つ唯一無二のユニークスキルが発動する。
【死亡を確認しました】
【固有スキル:"不死者"が発動します】
【固有ダンジョン:"黄泉の送り道"へ魂のみ転送します】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます