第12話 ドラゴンの真実

トウマたちは、目の前に座するダークドラゴン、アトラズの圧倒的な存在感に圧倒されていた。その巨大な鱗の一つ一つが光を反射し、まるで黒い宝石のように輝いている。アトラズの瞳は冷静で知的な光を放ち、まるで彼らの内心を見透かしているかのようだった。


「よくぞここまで辿り着いた、冒険者たちよ。」


アトラズの低く響く声が広間にこだました。その声には、ただの魔物にはない威厳と知性が感じられた。


「ここまで来た褒美として、我がこのダンジョンの真実を教えてやろう。」


トウマたちは息を呑み、その言葉に耳を傾けた。何が語られるのか、彼らの胸は高鳴っていた。


「ダンジョンとは何なのか、なぜ魔物という存在が生まれたのか、知りたくはないか?」


アトラズは問いかけ、彼らの反応を楽しむかのように微笑んだ。トウマは一歩前に出て、恐れずに尋ねた。


「教えてくれ。ダンジョンとは何なんだ?そして、なぜ魔物たちは人間を襲うんだ?」


アトラズは静かに頷き、語り始めた。


「ダンジョンとは、地球そのものが創り出した免疫機能だ。」


その言葉に、トウマたちは驚きと混乱の表情を浮かべた。アトラズは続けた。


「地球は生きている存在であり、その中で増殖し続ける人間という存在を脅威と見なした。人間は自然を破壊し、地球のバランスを崩す存在だからな。」


ナオミが息を呑み、アキラも驚愕の表情を隠せなかった。アトラズの言葉は続いた。


「だからこそ、地球はダンジョンを創り出し、魔物という存在を生み出した。魔物たちは地球の免疫細胞のようなもので、人間という病原体を排除するために存在している。」


トウマたちは呆然と立ち尽くし、その真実に打ちのめされた。自分たちが敵だと思っていた魔物たちが、実は地球を守るための存在だったという事実に、彼らはどう対処すれば良いのか分からなかった。


「じゃあ…私たち人間が地球にとっての害だというのか?」


ナオミが震える声で尋ねた。アトラズは静かに頷いた。


「その通りだ。人間は地球を蝕む存在だ。しかし、それでもお前たちは戦い続けるのか?」


その問いに、トウマたちは深く考え込んだ。自分たちの存在が地球にとっての害であるという事実を受け入れ、それでも戦う理由を見つけなければならなかった。


トウマは胸の中で葛藤を抱えながら、答えを見つけようとしていた。地球の視点からすれば、自分たちは害でしかない。しかし、自分たちには守りたいものがある。それは仲間であり、家族であり、未来だった。


「俺たちは…それでも戦う。」


トウマが静かに言い放った。ナオミとアキラもそれぞれの思いを抱きながら、トウマの言葉に同意した。


「たとえ地球にとっての害であったとしても、俺たちは守るべきものを守るために戦う。それが、俺たちの選んだ道だ。」


アトラズはその言葉を聞いて、一瞬の沈黙の後に微笑んだ。


「良いだろう。お前たちの決意、しかと受け止めた。では、その決意がどれほどのものか、試してやろう。」


アトラズの目が鋭く光り、彼の体が動き始めた。戦いの時が近づいていることを感じたトウマたちは、最後の覚悟を決めた。


「俺たちはこの試練を乗り越える。たとえどんなに困難でも、必ず…!」


トウマの言葉に、ナオミとアキラも力強く頷いた。彼らは互いに励まし合い、これからの戦いに臨む決意を新たにした。


アトラズの前に立ち、トウマたちはこれからの戦いに挑む準備を整えた。彼らの心には、地球の真実を知った上での新たな決意が燃え上がっていた。

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