ダンジョン・レクイエム ~ダンジョンで家族を失った青年は冒険者となり、今度こそ守るために仲間と冒険をする~

TMt

第1話 冒険の始まり

トウマは、巨大な石造りのアーチをくぐり抜け、ダンジョンの入口に立った。冷たい空気が彼の肌を刺すように感じられた。初めてのダンジョン探索に心臓が高鳴る。


「ここが、ダンジョンか…。」トウマは呟いた。


リーダーの城島が冷静な声で言う。「そうだ、ここからが本番だ。気を引き締めろ。」


城島の背後には、メカニックの明日香と情報専門家の翔、そして医療担当の由美が続いている。


「このダンジョン、結構深いらしいね。中はどうなってるのかな?」明日香が興味津々に尋ねる。


翔はタブレットを操作しながら答えた。「内部構造は不明だ。だからこそ、情報収集が必要なんだ。」


トウマは、剣をしっかりと握りしめ、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。彼の脳裏には、過去の悲劇が蘇る。家族をダンジョンの魔物に殺されたあの日。彼はその復讐と、同じような悲劇を防ぐために冒険者となったのだ。


「トウマ、先頭を任せる。俺たちは後方支援だ。」城島が指示を出す。


「了解です。」トウマは頷き、ダンジョンの奥へと足を踏み入れた。


ダンジョンの内部は、薄暗いトーチの光で照らされている。壁には古代の文字が刻まれており、長い年月を感じさせる。足元には、苔が生え、湿った空気が漂っていた。


「ここは一体何のために作られたんだろうね。」明日香が疑問を口にする。


「おそらく、何かの祭壇か遺跡だったんだろう。」翔が推測を述べる。「だが、今では魔物の巣になっている。」


進んでいくと、足元に小さな音が響いた。突然、目の前に小型の魔物が現れた。グレムリンだ。小さな体に鋭い爪を持ち、素早く動く。


「トウマ、前へ!」城島が叫ぶ。


トウマは素早く剣を振り下ろし、グレムリンを倒す。しかし、次々と現れる魔物に息をつく暇もない。


「こんなに多いなんて…!」トウマは焦りを感じながらも必死に戦った。


「落ち着いて、数を減らしていけば大丈夫!」明日香が励ます。


彼女の言葉に励まされ、トウマは次々と魔物を倒していった。突然、巨大な影が彼らの前に立ちはだかった。フェロックだ。鋭い牙と巨大な体を持つ狼のような魔物で、眼光が鋭く光っている。


「これは手強いぞ。みんな、フォーメーションBだ!」城島が指示を出す。


チームは即座に動き、各自のポジションを取る。翔がタブレットを操作しながら言った。「こいつの弱点は前脚だ。そこを狙え!」


「了解!」トウマはフェロックの前脚を狙い、攻撃を仕掛けた。しかし、フェロックの反撃も激しく、トウマは何度も押し返される。


「トウマ、後ろに下がって!治療が必要よ!」由美が駆け寄り、トウマの傷を手際よく治療する。その間に、城島と明日香がフェロックを牽制し続けた。


「トウマ、もう一度行けるか?」城島が尋ねる。


「はい、行けます!」トウマは再び立ち上がり、全力でフェロックの前脚に攻撃を集中させた。ついに、フェロックは力尽きて倒れた。


「よくやった、トウマ。」城島が肩を叩いた。


「ナイスファイト!」明日香が微笑んだ。


「情報通りの弱点だったな。これからもこういう敵は出てくるだろう。」翔が言った。


「皆無事で何より。休憩してから次に進もう。」由美が言う。


トウマは深く息をつき、初めての戦闘の余韻を感じながら、仲間たちと共に次のフロアへと進む準備を整えた。


ダンジョンの奥深くに進むにつれ、敵はますます強力になっていった。ケルベロスやトロール、ワイバーンなど、数々の強敵が彼らの前に立ちはだかった。しかし、トウマたちは力を合わせてこれらの魔物たちを次々と撃破していった。


ある時、彼らは広大なホールに辿り着いた。そこには、ゴブリンキングが待ち受けていた。小型のゴブリンを従えるリーダー格で、その知恵と戦略で冒険者たちを何度も苦しめてきた存在だ。


「こいつがゴブリンキングか…!」トウマは剣を構えた。


「注意しろ、こいつはただのゴブリンじゃない。」城島が警告する。


ゴブリンキングは笑みを浮かべながら、ゴブリンたちに指示を出し、一斉に襲いかかってきた。トウマたちは必死に応戦したが、ゴブリンキングの巧妙な戦術に苦戦を強いられた。


「どうする、城島さん!」トウマが叫ぶ。


「冷静に、ゴブリンキングの動きを見ろ!何か隙があるはずだ!」城島が指示を出す。


トウマは必死にゴブリンキングの動きを観察した。そして、ついにその隙を見つけた。


「今だ!」トウマは叫び、ゴブリンキングに向かって突進した。剣がゴブリンキングの胸を貫き、敵は絶命した。


「やったか…!」トウマは息をついた。


「ナイスだ、トウマ!」明日香が喜ぶ。


「これで一段落だな。」翔が言った。


「皆、無事でよかった。」由美が安心した様子で言った。


戦いが終わり、彼らはダンジョンの奥に進む道を見つけた。そこには、次なる冒険が待ち受けている。


トウマは決意を新たにした。「これからも、どんな敵が現れようと、仲間たちと共に戦っていく。」


「その意気だ、トウマ。」城島が微笑んだ。


トウマたちは再び歩き出した。彼らの冒険はまだ始まったばかりだ。ダンジョンの奥深くには、さらに強大な魔物たちが待ち受けている。しかし、トウマたちは力を合わせ、困難を乗り越えていく。

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