恋文と接吻【ライトBL】

雪うさこ

第1話 ひとりぼっち



 目が覚めて、ふと隣を見ると、もうそこにあの人の姿はなかった。


 あの人が寝ていたはずのその場所を触れてみると、すっかり寝具の冷たさが伝わってくる。


 軽くため息を吐いてみても、何も変わらない。諦めてリビングに行ってみると、ラップがかけられた目玉焼きが置いてあった。


『春介へ。パンは焼いて食べること。最初に予熱してからだよ! それから、冷蔵庫にバターとあんこ、サラダが入っているよ。スープは鍋の中。温め返して食べること』


 几帳面な整った文字で書かれたメモを見つける。


「全く。おれより早く行くのに、朝飯作る馬鹿がどこにいるんだよ」


 対面式のキッチンに行くと、小鍋には一人分のミネストローネが出来ていた。


(料理下手なくせに)


 イライラした。トースターの電源を入れてから、目玉焼きをレンジに突っ込む。それから、冷蔵庫を開けて、サラダ、バター、あんこを取り出した。


(こんなに豪華にされても、一人で食べる食事は味気ないんだぞ)


 広いリビングにはおれ一人。そう、いつもそうだった。




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