幽霊彼氏

@murat_____

第1話 そこに

慣れた手つきで鍵を開ける、303号室。

ヒステリックを起こした御局の話を流すのに今日は1時間掛かった。最近はアパートの階段をのぼり終えたときにでるふわっとした疲れも、なんだか開放感に似て愛おしく思える。

靴を脱ぐとき、決まって前髪が揺れる、いる。

私の彼氏は幽霊だ。

顔が見えない、声が聞こえない、でも、いる。そこに、おかえり。と、笑ってる。

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