第26話 魔法戦
*****カイ視点(トワの一番上の兄)
「ここを辞める前にトワと模擬戦をさせて下さい」
わたしはカイ・ウィンザー、城で宮廷魔導士として働いていた。
歳の離れたカイとは容姿があまり似ていない。
金髪と青い瞳が同じくらいだ。
昔から病弱で色白で体も細い。
「そうか・・良いだろう。ただし危ないから屋外ならば許そう・・カイ殿は勇者だな・・」
王様が何故かかなり驚いていた。
最後の言った言葉もよく分からない。
とにかく許可は取った。
わたしはトワとは年が離れすぎていてほとんど話したことが無かった。
噂では勇者との模擬戦が凄かったらしいと聞いたのだが、その日は用事があり見れなかったのだ。
是非一度見てみたかったのだ。
「実家から追い出されたことも全く知らなかったな・・」
会うのは数年ぶりだ。
実家にもしばらく帰っていない。
城からだいぶ離れた草原にわたしとトワは向かい合っていた。
「嬉しいよ。会うのは何年ぶりだ?」
「そうだね。僕がまだ小さい頃以来だよね」
わたしは杖を構える。
トワは杖は持っていないのか?
「杖は使わないのか?」
「そっか、普通は使うんだよね。僕は特に必要無いかも」
『光の精霊よ・・我の周囲を保護せよ『
トワは右手を上にかざし詠唱する。
それだけで魔法が発動するのか。
わたしは何年も修行して宮廷魔導士になったというのに。
*****トワ視点
今日一番上の兄のカイが模擬戦をしたいと言い出したらしい。
カイは年が離れているだけあって、ほとんど話したことが無い。
城での噂を聞いて、魔法を見たいと思ったのだろうか。
前回の勇者との対決を見なかったらしい。
「嬉しいよ。会うのは何年ぶりだ?」
兄が本当に嬉しそうに微笑んでいる。
「そうだね。僕がまだ小さい頃以来だよね」
「杖は使わないのか?」
「そっか、普通は使うんだよね。僕は特に必要無いかも」
杖は魔法を増幅させる力があるらしい。
僕はあまり気にしていなかったのだけど。
『光の精霊よ・・我の周囲を保護せよ『
僕とカイ兄さんの周りをバリヤーで囲む。
前回、勇者が魔法を使った時危なかったからね。
流石に兄さんなら危険な魔法は使わないだろうけど。
離れた所に、ウェンディとレーシャ王女・・王様や勇者たちも見ている。
「トワは優しいな」
『ファイヤーボール』
カイ兄さんが炎魔法を放った。
『水の精霊よ・・
すかさず火を水で相殺する。
ドドドーン
空中で爆発が起こった。
同じ質量なら相殺されるはずだから、僕が調節できないのが問題かもしれない。
魔法も強ければいいという訳ではない。
今後の課題だな。
じゃあ、次は僕が行くか。
『土の精霊よ・・『ストーンバレット』』
土の塊が円錐状になってカイに飛んでいく。
『
カイは水の魔法を操り壁を作る。
土の塊が、水の壁に当たって溶けていく。
えっと、次は何の魔法を使おうか?
「ところで、トワの魔力量はどのくらいあるんだ?」
急に訊かれて、僕はステータスを見た。
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トワ・ウィンザー 15歳 魔法使い
生命力 800/800
魔力 990/1000
攻撃力 250
守備力 100
素早さ 100
スキル
火魔法・水魔法・風魔法・土魔法・光魔法・闇魔法
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「えっと、1000かな?」
「「「い、一千だと!?」」わたし自身が確か300くらいと聞いていたが、三倍強とは・・」
「ま、まいった」
カイ兄さんが降参してしまった。
「とても、勝てる気がしないよ・・」
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