蝋燭と蛾

光に向かって羽ばたいて

恐怖も与えられずに

ただ闇から逃げたかったのに

光は僕を焼き殺した


蝋燭の火は僕に囁いた

闇を照らす灯は僕だと

僕は宵から逃げるように

君に羽ばたき近づいた


光に向かって羽ばたいて

恐怖も与えられずに

ただ闇から逃げたかったのに

光は僕を焼き殺した

君は僕に希望をくれた

闇から逃げる勇気も与えた

死ぬという恐怖は与えなかった

だから僕は焼かれて死んだ


君が照らす闇は僕に歌った

あれは闇を照らす光だと

僕は君の光が頼もしかった

君に近づき喜んだ


夜に溶けた僕の両羽を

失う恐怖も知らなかった

ただ光に助けを求めて

裏切られたのは僕の気のせい

僕が君を誤解していた

君は僕を焼き殺した


羽ばたき近づく

たったそれだけだよ

あの子は僕を嫌がって逃げた

羽ばたき遠のく

たったそれだけで

あの子は安堵の息をついた


僕を誘って誘惑したのは

君が火を灯すから

君が誘って闇を照らしたから

だから僕は死んだんだよ


君が闇を照らさなければ

恐怖でただ飛ぶだけだったのに

君が闇を照らしたせいで


僕は 僕は


焼けて死んだんだよ

僕は君を好きになった

闇を照らしてくれた

君にありがとう

焼けて死んだ蛾

これは蝋燭と蛾の物語

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