人民網日本語版で知る中国 AI V.1.1
@MasatoHiraguri
第1話 自称「発展途上国」が、世界一の「AI先進国」
という、パラドックス 逆説(paradox)
一般に通用している説や真理と認められる事柄に反する説。「貧しき者は幸いである」の類。広辞苑 第七版 (C)2018 株式会社岩波書店
AIを現実の生活のなかで生かし、社会におけるそのメリットとデメリットをいち早く経験しながら、その先を見据えて更なる次元の開発に向かおうとしているのは、世界中で中国だけ。その意味で、中国こそAIの最先端を行く国といえるでしょう。
(人民網日本語版を見ると、使い古しの石炭産業や農業機器、超巨大タンカーや超大型トラックをスマート化したりと、温故知新の精神でによって、あらゆる分野で最先端を行く「発展途上国」です。)
また、中国人とはAIなど無くても、マンパワーだけで14億人の国を運営できる人間力を持ちながら、持ち前の中華料理的問題解決能力によって、いつの間にか最先端を走っている。
また、AI無くしてお得意の世界制覇ができないアメリカのために、なんだかんだと意地悪をされながらも、AIの技術革新に貢献している、というパラドックス。
アメリカと韓国(そして韓国脳日本)とは、この先「AI心中」していく仲ですが、それを「宿敵中国」に作ってもらおうというパラドックスというか、情けなさ。
GIGAZINEより
2024年03月25日
○ 世界のトップAI研究者の約50%が中国出身であることが判明
チャットボットや生成AIの開発では、アメリカを中心とする欧米諸国が世界をリードしているという印象があります。ところが、アメリカ・シカゴのポールソン研究所にあるシンクタンクのMacroPoloが行った調査では、AI研究で世界の上位20%に入るようなトップ研究者のほぼ半数が、中国出身であることが報告されました。
・・・
近年は大規模言語モデルや機械学習のブレイクスルー、コンピューティング能力の飛躍的な向上といった要因もあり、世界中の企業や機関は激しいAI人材の獲得競争を繰り広げています。MacroPoloは、AIエコシステムの発展に必要不可欠な要素である「人材」の世界的なバランスを定量化するため、AI・機械学習分野の国際会議であるNeural Information Processing Systems(NeurIPS)が受理した論文をサンプルとした調査を行いました。
NeurIPSは論文採択率の低い難関の国際会議として知られており、2019年に受理された論文は1428件でアクセプト率は21.6%、2022年に受理された論文は2671件でアクセプト率は25.6%でした。そのため、NeurIPSが受理した論文の著者は、AI研究における上位20%のトップ研究者であることを示す優れた指標であるとのこと。
以下のグラフは「トップ20%のAI研究者が学部を卒業した大学の国」を示したもので、左が2019年、右が2022年を表しています。2019年には中国が29%・アメリカが20%・ヨーロッパが17%・インドが8%でしたが、2022年には中国が47%・アメリカが18%・ヨーロッパが12%・インドが5%と、中国出身のトップAI研究者の割合が約半数を占めていることがわかります。
また、「トップ20%のAI研究者が働いている国」を示したグラフが以下。2019年はアメリカが59%・中国が11%・ヨーロッパが10%・カナダが6%でしたが、2022年はアメリカが42%・中国が28%・ヨーロッパが12%・カナダが2%となっています。
これらのグラフは、中国でAI人材の国内プールが急速に拡大すると共に、自国のAI産業の需要も増大していることを示しています。日刊紙のニューヨーク・タイムズは、「中国がこれほど多くのAI人材を育成できたのは、AI教育に多額の投資をしたことも一因です」と指摘しています。
MacroPoloのマネージングディレクターであるダミアン・マー氏によると、2018年以降に中国は2000以上の学部でAIプログラムを追加し、そのうち300以上が最上級の大学にあるとのこと。しかし、その多くは産業や製造業におけるAI応用を追求するものであり、アメリカのAI業界を支配している生成AIのブレイクスルーにはあまり焦点を当てていないそうです。
こうして誕生した中国出身のAI研究者は、アメリカの企業にとって重要な人材です。以下のグラフは、アメリカの研究機関で働くトップAI研究者の出身国を示したもの。2019年はアメリカが31%・中国が27%・ヨーロッパが11%・インドが11%・カナダが3%でしたが、2022年はアメリカが37%・中国が38%となっており、2国だけで75%を占めています。
カリフォルニア大学バークレー校の教授で、AIとロボット工学のスタートアップ企業であるCovariantの創設者であるピーター・アビール氏はアメリカの大手企業や大学では多くの中国人研究者と一緒に仕事をするのが当たり前だと述べています。
アメリカで活動する中国人AI研究者の増加は、「中国のスパイ活動を防ぎたい一方で、中国のAI研究者を受け入れなければAI分野の競争で後れを取ってしまう」というジレンマを提起しています。
○ AIが描く彩り豊かな貴州
人民網日本語版 2024年05月14日16:05
http://j.people.com.cn/n3/2024/0514/c94638-20169568.html
2024年05月17日
○ 中国で続々とAIモデルが承認され中国国内のAI産業は10兆円規模の市場に
IT大手のBaiduが「すべての点でGPT-4に匹敵する」という大規模言語モデル「Ernie 4.0」を発表しているように、中国も人工知能関連の産業を積極的に推進していて、いまや市場は5000億元(約10兆円)規模になっていることが明らかになりました。
中国政府は2023年8月に生成型AIの規制法案を発表して以降、40以上のAIモデルを承認してきたとのこと。初期に承認を受けた企業には通販大手のAlibabaや検索大手のBaidu、「TikTok」開発元のByteDanceなどが含まれます。
深圳証券時報や各メーカーの発表などによると、直近の2024年1月には、以下の13社14種類のAIモデルが承認されています。
・第四范式「式説(式说)」
・「零一万物(01.AI)」
・銜遠科技(衔远科技)「品商」「摹小仙」
・識因知能(识因智能)「一叶軽舟(一叶轻舟)」
・小米(Xiaomi)「小愛同学AI助手(小爱同学AI助手)」※AIアシスタント
・知連招聘(智联招聘)「AI改簡暦(AI改简历)」
・BOSS直聘「南北閣(南北阁)」
・脈脈(脉脉)「智能問答(智能问答)」※新機能
・什幺値得買(什么值得买)「AI問答机器人(AI问答机器人)」
・步刻科技「微步情報知能(微步情报智脑)」
・新壱科技(新壹科技)「新壱視頻(新壹视频)」
・創思遠達(创思远达)「魔方」
・掌閲(掌阅)「閲愛聊(阅爱聊)」※微信小程序(WeChatミニプログラム)
調査会社・IDCによれば、2022年の世界の人工知能技術への投資額は1288億ドル(約18兆9700億円)、2023年は19.6%増加して1540億ドル(約22兆6800億円)と予想されています。
一方で、中国の工業情報化部のデータによれば、中国の人工知能産業の規模は5000億元(約10兆3800億円)で、企業数は4400社に上るとのこと。特に大規模言語モデルの分野が急速に発展しており、2023年には前年比110%増の21億ドル(約3093億円)規模に成長し、世界全体の10%を占めることになると予想されているそうです。
今後、さらに人工知能市場は拡大し、2024年は世界全体で6158億ドル(約90兆7200億円)規模に、中国だけでも7993億元(約16兆5900億円)規模になると予想されています。このうち、大規模言語モデルの市場は中国で216億元(約4480億円)規模、全世界では280億ドル(約4兆1200億円)規模と、引き続き2ケタ成長が見込まれています。
○ AIが中国で既にイラストレーターの仕事を奪い始めている、現場の悲鳴と実際にどのようにAIが用いられているのかをまとめたレポートが公開
Stable DiffusionやMidjourneyの登場により、画像生成AIに対する期待は爆発的に高まっており、今やWindowsの標準ブラウザであるEdgeにも画像生成AI機能が搭載されています。
そんな画像生成AIの活躍により、中国のゲーム業界ではさっそくイラストレーターたちが仕事を奪われつつあると、テクノロジーメディアのRest of Worldが報じました。・・・
2022年にDALL-E 2が登場して以来、MidjourneyやStable Diffusionといった画像生成AIが登場し、ユーザーはテキストから非の打ちどころのないイラストを簡単に生成できるようになりました。これにより、Tencentのような大手ゲーム企業から、インディーズゲームスタジオまで、中国のゲーム業界では画像生成AIの利用が加速しています。 中国のゲーム業界で働くフリーランスのイラストレーターであるアンバー・ユー氏は、ゲームのビジュアルを1枚描くごとに3000~7000元(約5万8000~13万6000円)程度の報酬を得ていたそうです。ユー氏が作成してきた「プレイヤーを引き付けたり新機能をアピールしたりするためにソーシャルメディアに投稿するプロモーション用のビジュアル」は、画像生成AIが登場するまでは「スキルが必要で時間のかかる作業」だった模様。 しかし、2023年2月以降、こういったビジュアルの作成依頼が激減しているとユー氏はRest of Worldに語っています。
ユー氏は「中国の伝統衣装を着て獅子舞を踊る女性のイラスト」などを1週間かけて描いていましたが、画像生成AIの台頭により同様のイラストをほんの数秒で作成することができるようになってしまいました。ユー氏によると、ゲーム会社は「画像生成AIで作成したイラストを微修正する」という作業を人間のイラストレーターに依頼するようになってきており、報酬はそれまでのイラスト作成の10分の1程度にまで落ちている模様。
ゲーム業界において、イラストレーターはキャラクターデザインや背景制作などで欠かせない存在です。画像生成AIの出力するイラストの質が高いため、中国ではゲーム業界で働く多くのクリエイターが「いつまで仕事を続けられるか」に不安を抱え始めている模様。 中国の重慶市にある独立系ゲームスタジオで働くイラストレーターのスー・インイン氏は、「AIは我々の想像をはるかに超えるスピードで開発されています」と語っています。インイン氏が働くゲームスタジオでは、中国の主要なゲーム開発者向けのデザイン制作を行っており、15人のイラストレーターが働いていたそうです。しかし、このうちのキャラクターデザインを担当していた5人のイラストレーターが、2023年に入って解雇された模様。インイン氏は解雇の理由が画像生成AIの利用を開始したことにあると考えており、「今後、これまで10人で行ってきた作業を2人で行わなければならなくなる可能性もあります」と語り、さらなる人員削減が実施される可能性を示唆しました。 実際、中国の大手ゲーム企業であるTencentやNetEaseはAIを用いてゲーム開発コストを削減する方法を何年にもわたり模索してきました。NetEaseのバトルロイヤルゲームである「Naraka: Bladepoint」は、2023年3月にAIを利用してアバター用の新しいスキンを作成できる機能を発表しました。また、原神の開発元として知られるmiHoYoはNetEaseと協力して、刑事告訴された声優の声をAIを使って再現することに成功しています。
Rest of Worldが確認したところによると、NetEaseはゲーム内のアニメーションを作成するためにAIベースのテクノロジーを活用しており、このAIモデルは独自のリソースとライセンスされたリソースを使用してトレーニングされている模様。NetEaseの広報担当者は「我々の目標は才能のあるアートデザイナーとイラストレーターのチームが、ゲーム開発プロセス中にアセットをより迅速かつ効率的に作成できるようにするためのより優れたツールを開発することです」とコメントしています。一方で、TencentとmiHoYoはRest of Worldからのコメントの要請に応じていません。 広東省在住の匿名のイラストレーターは、「私の生計手段は突然破壊されてしまいました」と語り、イラストレーターとしての職を完全に諦めてしまったと語っています。これに対して、ユー氏は「人間がこれまで何十年もかけて作成してきた膨大なイラストのデータセットで訓練されたAIがイラストレーターに取って代わろうとしていることは卑劣だ」と語りました。しかし、ユー氏は自身のイラストを使ってAIをトレーニングすることで、生産性を向上させることを計画しており、「私が一流のイラストレーターなら仕事をボイコットすることができるかもしれません。しかし、それでは食べていけません」と語りました。
なお、中国のゲーム業界では画像生成AIを用いて「人間が描いたキャラクターのスケッチから衣服やアクセサリー」や、「ゲームに登場する宝箱や金貨」を作成しているそうです。広東省にある大手ゲーム会社で働く匿名のゲームアーティストは、これまで1日1シーンほどのペースで描いてきたイラストが、画像生成AIの台頭により1日40シーン作成にまで膨れ上がっていると明かしています。このゲームアーティストの同僚は、ある日の夜に「AIをぶっ壊せたらいいのに」とつぶやいたそうです。 また、画像生成AIの登場で解雇を危惧する従業員がまじめに働くようになり生産性が高まったという声もあるそうですが、「AIは我々の生産性を高めたものの、同時に我々を疲弊させてもいます」と語る業界関係者もいます。 杭州にあるゲーム企業で採用担当として働くレオ・リー氏によると、中国で広がるゲームに対する規制と画像生成AIの台頭により、イラストレーターの仕事は約70%も減少したそうです。
・・・
成都を拠点とする中国のゲーム企業であるHuanxiong Studioは、ゲーム開発にMidjourneyとStable Diffusionを利用すると発表したばかりの企業です。同社の責任者を務めるジギー・モー氏は、「画像生成AIは特定のクライアントのニーズを満たすようなデザインのイラストを作成することができませんでした」と語っており、画像生成AIにはまだまだ特異不得意があると指摘しています。さらに、モー氏は「少なくとも、当社にとってAIが人間の労働者に取って代わることはありませんでした。AIはクリエイターを支援する単なるツールに他なりません」とも語りました。・・・
独立系ゲーム開発者のシャオ・ディー氏は、イラストレーターが経験している不安はすぐに他の職業にも広がる可能性があると指摘。また、自身のようなインディーズのゲーム開発者はイラスト制作をアートスタジオに外注するのではなく、画像生成AIを利用することでコスト削減を実施しているとコメント。 なお、ディー氏が開発した「狂人游戏:中国精神病人」は、チャットAIのChatGPTと画像生成AIが世界を席巻した時代に生きるアーティストを主人公とした作品で、ゲーム内のキャラクターの一部は画像生成AIの「Draft」で作成されているそうです。
2024年5月23日
V.1.1
平栗雅人
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