第一章「バハムート・オンライン」

「私がこの国を支配するということは時代が私を求めていたということだ」

紀元2700年「連邦制国家日本」


「ただいま〜、今日合気道の練習でかなり上達したよ。師範になれるかもしれないってさ。たしかに自他共に認める天才だけどITコンサルタントと兼ねるのはちょっとキツイかなぁ。副業でヴァーチャルアイドルと小説家やってるし。どう思う?お母さん。」

「まぁ、いいんじゃない?昔はコンサルタントになれるだけマシだったのに今や職業はコンサルタント以外機械化しちゃったし楽だと思うよ?昔の人に比べればね〜。」そう、今や日本は戦後ではない。敗戦してからというもの軍隊を保有し、常任理事国となっている。俺はあの一條忠將の次男にして高校生アイドル兼小説家の一條龍騎。高校合気道部主将にして首席卒が確定している。父が内閣総理大臣にして世界でも注目を浴びている人物なのは俺にも分かっていた。カリスマ性だけでなく學者としても活動しているからだ。分野は哲学と経営学。ドイツで哲学の博士号を取得している。八極拳の達人で仲の悪い中国とも友好関係を築いている。俺は内部推薦で名門工業大学への進学が決まっている。専攻は勿論情報工学。高校や大学は名前ではなく身につけた知識と技術と資格だと思っている部類だ。「さてと、始めますか。」俺は「バハムート・オンライン」と書かれたソフトのパッケージを見つつ興奮気味に言った。ベッドは横たわりVR機器を頭から半分までセットする。一息入れ全てを覆う。目の前にアカウント名が表示される。ゼインとカタカナで出ている。尊敬する偉人の名前だ。一瞬でマイルームのベッドに寝ている状態になる。このゲームのプレイヤー数はなんと3億人。世界最大規模のゲームと呼ばれている。ルールは単純明快。現実の見た目で匿名で活動するというもの。勿論、荒れ防止のためだ。そこが氣に入っている理由の一つでもある。そして惑星一つを舞台にした広大なマップと浮遊大陸。何もかもが洗練されている。そう、まるで異世界のように。とある學者は言った。「人間は神智にまで達した」と。俺はこの世界で注目されているプレイヤーの一人だ。理由は勿論デュエリストランキング1位。勝率100%。今のところの成績はちょうど1000勝0敗。とあるプレイヤーからはチートを疑われていた。そのため、運営の配慮もあり公式マークがアバターについた。俺自身が選り好んでいるのもあり、強豪にしか挑まない。その結果がこれだ。世界最強の剣士と謳われている。自覚はある。合気道の天才が努力した結果だ。コンサルタント分野別、大学別、高校別、企業別の主に四つの大きな括りのギルドが存在している。レッドギルドも存在する。いけすかない奴らだ。さぁて向かいますか、俺のギルドへ。

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