やけくそで密入国した夜逃げ聖女は、王弟殿下の愛に溺れそうです
越智屋ノマ/ビーズログ文庫
プロローグ どうしてこんなことに!?
「あらためて言っておくが、俺が君を愛することはない」
上質な調度品で
窓から
初夜の寝室での〝妻を愛さない〞という一言。本来ならそれは妻の尊厳をくじき、心に傷を負わせるに足る
ベッドに
「あら、
「ビクビクするなよ。そんなに俺のことが怖いのか?」
「べ、別に怖がってなんか」
強がっているエミリアを見ながら、三つ年上の夫は
「笑わないでください、殿下! 私はあなたの
「別に、バカになんてしてないよ」
ふっと息を
「俺は〝用心棒〞として、君に
「……ありません」
「それなら話は終わりだ。
緊張でかすれるエミリアの声にかぶせるようにそう言うと、ディオンは
「ちょっと、殿下……!」
「別に取って
びくりと身をこわばらせるエミリアには目もくれず、広いベッドの奥のほうへとディオンは移動した。そのままごろりと
「それと、夫婦なんだから〝殿下〞と呼ぶのはやめてくれ。ディオンだ、呼んでみろ」
「……っ。………………ディ、ディオン、さま」
「よし」
「さっさと呼び
「……やっぱり私のこと、バカにしてるでしょう」
「どうだかな」
「俺は君を愛さない。だから、安心してお休み」
ディオンはそのまま眠ってしまった。深い
(……もう。なんなの、この人!)
ディオンと最大限の
(やっぱり私、どうかしてるわ。リスクを
リスク
(私の正体が、この人にバレたらどうしよう。絶対に
密入国。身分
(私はただ
エミリアは半泣きになって、これまでの人生を思い返していた――。
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