第34話 廃工場での対決

廃工場の周囲は警察の増援部隊によって包囲されていた。緊迫した空気の中、野口刑事は無線で指示を出し、突入の準備を進めていた。


「全員、準備はいいか?突入の合図を待て。」野口刑事が冷静に指示を飛ばす。


香織と涼介も息を潜めながら、状況を見守っていた。彼らの心臓の鼓動が高まり、緊張がピークに達していた。


突入の合図が出され、警察の増援部隊が一斉に廃工場内に突入した。中では犯罪組織のメンバーが抵抗し、激しい銃撃戦が展開された。


「涼介、注意して!」香織は涼介に叫び、二人で協力しながら進んだ。


銃声と叫び声が響き渡る中、香織と涼介は倉庫の奥へと進んでいった。途中で何度も物陰に隠れながら、少しずつ前進していく。


廃工場の一角で、香織は偽造紙幣が山積みにされた机を発見した。そこには偽造紙幣の製造装置や関連書類が散乱していた。


「ここだ、涼介。証拠を押さえよう。」香織が急いで写真を撮り、重要な書類を集め始めた。


涼介も協力し、証拠を確保した。「これで奴らの計画を暴ける。」


突然、廃工場の奥から冷笑が聞こえてきた。二人が振り返ると、そこには黒幕と思われる男が立っていた。


「よくここまで辿り着いたな。しかし、ここで終わりだ。」黒幕は銃を構え、冷酷な笑みを浮かべた。


「あなたがこの偽造紙幣の背後にいるのね。」香織は銃を構えながら問い詰めた。


「そうだ。しかし、お前たちに捕まるほど愚かではない。」黒幕はそう言うと、倉庫の裏口に向かって走り出した。


香織と涼介はすぐに黒幕を追いかけたが、彼は巧妙に逃げ道を知っているようで、複雑な廃工場の構造を利用して逃げ切ろうとした。


「追い詰めるんだ、香織!」涼介が叫びながら、二人で全力で追跡した。


しかし、廃工場の出口に辿り着いた時、黒幕はすでに車に乗り込み、エンジンをかけて逃げ出そうとしていた。


その瞬間、もう一台の車が廃工場の前に現れ、黒幕の車の前に立ちはだかった。車から降りてきたのは、インターポールのエージェントだった。


「我々が手を貸そう。」エージェントは冷静な表情で言った。


「インターポール?」香織は驚きながらも、すぐに状況を理解した。「助かります。彼を捕まえるんです!」


エージェントたちは迅速に動き、黒幕の車を取り囲んだ。黒幕は逃げ場を失い、逮捕される瞬間が迫っていた。


「これで終わりだ。」涼介が黒幕に近づきながら言った。


しかし、黒幕は最後の力を振り絞り、何かを取り出そうとした。その手には小型の爆弾が握られていた。


「離れろ!」エージェントが叫ぶ。


香織、涼介、そしてエージェントたちは、爆弾の危険に直面しながら、決死の覚悟で黒幕を取り押さえようとした。

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