再びケシタニモへ3
本来ならバーミットについても噂で調べるのは楽なことではないのだが、脱獄事件で右腕でもあるグレーシオを失ったせいか大きく荒れていた。
そのために奴隷商人の中でバーミットについて噂になっていたのである。
表向きハンビトガイは脱獄には関わっていない。
グレーシオが獣人たちを追跡してきて返り討ちにされたことなど普通の人々は知らないことなので、バーミットが荒れていることは原因不明で逆に目立っていたのだ。
「どうやらお金がなくて困ってるらしいです」
バーミットが大きな損失を出したらしいという噂が奴隷商人たちの間では有力だった。
何で損失を出したのかまでは分からないけれど、多方面に奴隷を買わないかと声をかけていて値段もいつもより低めに設定してる。
どう見てもお金を作ろうとしているのだ。
レオにお金を盗まれたから経済状況的に良くないことは分かっていた。
だからメルビンダがレオに奴隷を売ってしまおうとしていたのであるが、さらにお金に苦しくなるようなことがあったのかもしれない。
脱獄した後グレーシオは多くの人を引き連れて追いかけてきていた。
獣人を抹殺するためにバーミットが人をお金で人を雇っていて、その後に何か利益を得ようとしていた可能性もある。
獣人たちが脱獄してしまったために目論んでいた利益が得られなくて焦っているのだとポツはバーミットに関して話をまとめた。
「いい気味ね」
ミカオがバーミットが荒れていると聞いて吐き捨てるように言った。
バーミットに捕まっていたミカオはバーミットのことをひどく嫌っていた。
バーミットのところにいた期間は長くないけれどそれでも怒鳴り声が聞こえてくることもあったし、ミカオ自身殴られたこともあった。
困っていると聞いても何ら同情する気にもならない。
「ハンビトガイの資金源にもなっているというしバーミットはどこかで倒しておきたいな」
レオやミカオの個人的な恨みだけでなくハンビトガイとして獣人全体の敵でもある。
いつかどこかでバーミットも倒すべき存在であるのだ。
「バーミットについてもできる限り噂を集めてくれ」
上手く居場所や行動を把握できたならこの混乱に乗じて襲撃することも考えられる。
「分かりましたです」
「ひとまずどこかの町を襲撃して奴隷を解放してしまおうと思っている。始めるのによさそうな場所はあるか?」
「よさそうな場所ですか……」
ポツは紙の束の中からケシタニモの地図を取り出して広げた。
「ここなんかどうでしょうです」
ポツが可愛らしいおててで指したのはケシタニモの南にある町だった。
「リマジハか」
「アルモフトラズ刑務所から遠く、騒動からも離れているので平和で油断していますです。ここら辺から派遣された人も多いので今は防衛も弱いです」
「よし、じゃあここを目指してみよう」
リマジハという町を一応の目標としてレオたちは動き出すことにしたのであった。
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