狼も猫もつおいです1
「それは嫌」
「私も絶対に嫌だからね?」
「分かってるさ……」
実はスキンヘッドの男のところから逃げ出す時に武器も必要だろうと剣も拝借してきていたレオとミカオ。
ただフーニャも加わったしもうちょっとちゃんとした武器や防具も必要だろうと話し合った。
ということで偽装用の首輪を身につけたミカオとフーニャと共にレオは装備屋を訪れた。
さまざまな武器や防具が並んでいるのだけどレオの目を引いたのは木を削って作られたマネキンに着せられているある防具だった。
「いいだろう? 男の浪漫ってやつだ」
「ええ、そうですね」
それはビキニアーマーだった。
イラストなんかでは身につけている女の子を見ることがあるけれど実際には何も聞く前に拒否されてしまった。
装備屋の親父だけがニヤリと笑ってレオの肩を叩いたのである。
レオも正直興味がないわけじゃない。
だがミカオとフーニャの二人にそんなものつけさせはしない。
なぜなら今だってケモッ娘が目の前にいるという極限の幸福状態なのにケモッ娘がビキニアーマーを身につけた姿なんて見てしまったら眼球が弾け飛んでしまう。
妄想でもぎりぎりヤバい。
「まあ奴隷相手なら無理矢理着せちまえばいい。ビキニ部分はちゃんとしたアーマーだから外すのにコツはいるが、夜もそのまま戦えるぜ」
装備屋の親父が下世話な笑みを浮かべ、ミカオとフーニャに聞こえないように小声でレオにビキニアーマーを勧める。
多分だけどこのビキニアーマーは装備屋の親父の趣味100%で作られている。
「いつか着てくれる子がいたら買いに来ます」
「なんで真っ直ぐな目ぇしてんだ……」
心惹かれるが今は買っても荷物になる。
残念であるが今はビキニアーマーは諦めた。
「それで獣人を戦わせるのか。まああいつら丈夫だからな。それこそビキニアーマーでも……」
「ビキニアーマーはひとまず置いといてください」
「チェ、ここで売ってねぇんだぞ?」
「この装備屋のことは忘れませんから」
「今度来る時には獣人用に尻尾の穴開けたやつ作っといてやるよ」
「……最高ですね」
武器を選ぶミカオとフーニャを見ながらレオは装備屋の親父をほんのりとした絆が生まれたような気がした。
フーニャは力が強い。
そのためにそうした力を十分に活かせる武器として大きめのメイスを選んだ。
防具は体が大きくて合うものがあまりなくて、革製のものをいくつか身につけることにした。
ミカオはシンプルな剣と盾を選んだ。
元解放軍のミカオも一応戦うことはできる。
動きやすさを重視して胸当てなどの軽めの防具をミカオは身につけることにした。
レオは特に気に入ったものはなく、スキンヘッドの男のところから持ってきた剣をそのまま使うことにした。
しかしそれだけではなく魔法も使うので補助具となる杖も購入した。
ミカオとフーニャが接近タイプなのでレオが魔法に集中しても悪くはない。
「毎度あり! ビキニアーマー作って待ってるからな!」
どんだけビキニアーマー売りたいんだ。
そんな思いを抱きつつ装備屋を後にした。
「あれ、着てほしい?」
装備屋の親父の言葉を聞いてフーニャがレオをじっと見つめる。
「……………………ああ」
色んな考えがレオの脳裏を駆け巡った。
イエスノー。
イエスならどう答え、ノーでもどう言い訳する。
長い思考の末にレオは達観したような目で素直に認めた。
「私でも?」
「フーニャ……うっ!」
「ご主人様!? やっぱり私じゃダメ?」
「そんなことないよ……これは……想像したら似合ってるだろうなって」
イメージだけでレオはやられてしまった。
高身長モフモフケモッ娘のビキニアーマーなど生で見た日には心臓が耐えられないかもしれない。
胸を押さえるレオをフーニャが心配そうな顔で見つめる。
「本当? ……ならちょっと着てもよかったかも」
フーニャはちょっと嬉しかった。
レオはこんな自分でも女として見てくれているのだと。
「私は……私も…………二人きりなら」
レオが喜んで褒めてくれる。
レオの嬉しそうな顔を想像したらミカオの尻尾も自然と揺れ始める。
なんでこいつを喜ばせなきゃいけないのだ。
ミカオは顔が熱くなるのを感じていた。
「二人のその気持ちだけでも嬉しいよ」
結局ビキニアーマーは買わなかった。
だから着てくれる可能性があるなら買っておけばよかったかもしれないとレオは少し思った。
ただ獣人仕様ではないので尻尾の穴なんかがない。
不便をかけてしまうかもしれないのでやっぱりなしだ。
「あとはフーニャの服とか色々だな」
装備だけ整えればいいというわけじゃない。
旅をする上で必要なものを揃える必要がある。
服や寒さ避けになるマント、食器とかそれらを入れるリュックも必要となる。
スキンヘッドの男がお金を貯め込んでいてくれたおかげで資金にはまだまだ余裕があったので多少値引き交渉はしながらもあまり粘る事なくお店を回って物を買っていった。
ただそれが良くなかったんだとレオは後悔した。
「どうやらお金持ちだなぁ?」
割と言い値で買っていたのを見られていたらしい。
柄の悪い連中が急にレオの前に出てきて道を塞いだ。
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