ケモッ娘を増やそう2

 たとえお金を出して奴隷として買うとしてもレオには奴隷から解放する手段がある。

 奴隷として買うというからおかしく感じるのだ。


 1人ケモッ娘を救うと前向きに考えてみれば悪い話ではないのかもしれない。


「そうか……ケモッ娘を吸う……救うか……」


「今なんか間違えなかった?」


「気のせいだ」


 ちょっと本音が漏れた。


「奴隷を買うのはひとまずいいとして、どこで買うんだ?」


 奴隷を道端で売っているとは思えない。

 けれどもどこで奴隷を売っているかも分からない。


 レオに奴隷売買の知識なんてものもありはしないのである。


「うーん、多分ここぐらい大きな町なら売ってる場所もあるかもしれない。正確な場所までは知らないから誰かに聞いてみたらいいと思うよ?」


 思ってたよりもシンプルな解決方法。

 まさか人に聞くとは。


 ミカオを連れているレオなら相手が勝手に奴隷を買うのだと察してくれて怪しまれることもない。

 ケモッ娘を奴隷として買うような男と思われるのも非常に心外なのであるが、ケモッ娘を救い、安全に旅をするためにはケモッ娘を仲間にする必要がある。


「ケ……獣人の奴隷を売っているところを探しているんですがこの町にありますか?」


 狙うのはこの町に住んでいそうでお金持ちっぽそうな人。

 つまり奴隷を買いそうな人である。


 レオが勇気を出して声をかけるとオッサンは一瞬怪訝そうな顔をした。

 そりゃあ奴隷を買いたんですがと見ず知らずの人に声をかけられればそんな顔もする。


 だが後ろでうやうやしく控えるミカオを見てニヤリと笑うとそういう事かと頷いて教えてくれた。

 獣人好きだと見られることは事実なので困りはしないが、獣人の奴隷が好きだと思われていると嫌だなとレオは思った。


「奴隷をお探しですか?」


 ズクウロヤという商人が奴隷を扱っているということで訪ねた。

 いかにも嫌な商人風の男である。


 獣人の奴隷が欲しいというとズクウロヤは元々細い目をさらに細めて笑う。


「どのような奴隷をお探しで?」


「戦えるような獣人を探してる」


「戦える獣人ですか。では男……」


「女の子で」


 食い気味にレオは答えた。

 男の獣人も救わないわけではないがケモッ娘に優先はしない。


 最終的に男の獣人も救うつもりだから許してほしい。

 レオに男の獣人をモフる趣味はないのである。


 いや、可愛らしい子だったら少しあるかもしれない。


「女の獣人で戦えるものですね。連れてまいりますので少々お待ちください」


 ズクウロヤが部屋を出ていく。


「そんな目で見ないで……」


 レオの後ろに立つミカオはレオのことを冷めた目で見ていた。


「ケモッ娘、ってやつならなんでもいいの?」


「なんでもってわけじゃないさ」


 ただレオのケモッ娘に対するストライクゾーンはかなり広い。

 ミカオももちろん可愛いが他のケモッ娘だって可愛いのはもちろんなのである。


「それにあれだよ、女の子の方がミカオも安心じゃない? 男だと俺の方が心配だし、決して俺がモフりたいというだけの話じゃなくてね……」


 やたら早口。

 これでは言い訳がましさが凄まじい。


「……ケモッ娘が良かったです」


「……しょうがないなぁ」


 無言のミカオに耐えきれずレオは白状した。

 色々言ったがケモッ娘がいい。


「ま、でもさ……新しい子ばっか構わないで、私のことも構ってくれるなら……」


 どうにもレオの力が獣人をモフることが必要なのであるとミカオもなんとなく理解した。

 若干目はキマっているもののレオは必要以上の接触をしようとはしない。


 一度はお腹までさらけ出す覚悟までした。

 そこまでするつもりはないけれどレオにモフられるのなら悪くないとミカオは思い始めている。


 不思議とレオなら触られても嫌じゃない。

 むしろ撫でてもらうと心地の良さすらある。


 そもそも人に撫でてもらうなんて普通はない。

 でも他の人に試してもらうつもりなんてミカオには毛頭ない。


 なぜなのかは疑問である。

 人間のみならず、獣人であっても触られるなんて嫌なのにレオが相手だとむしろもっと撫でてほしいとすら思ってしまう。


 頬が熱くなって尻尾が振られる。


「大丈夫か?」


 熱くなった頬を手で押さえてクネクネするミカオをレオが不思議そうな目で見つめる。


「な、なんでもない!」


「お待たせいたしました」


 何をしても愛らしいなと変態に浸っているとズクウロヤが1人の獣人を連れて戻ってきた。


「今私が抱える奴隷の中で条件に合いそうな獣人は1人でした」


 メカクレ高身長ファンタジーキャッツケモッ娘!

 他人の目がなきゃレオは悶絶して死んでしまっていたかもしれない。


 ズクウロヤが連れてきたケモッ娘は猫系統のケモッ娘であった。

 オオカミであるミカオに比べて鼻や口のマズルといわれる部分があまり突き出しておらず控えめ。


 そして服が少し張ってしまうほどにモフりとした毛が全身に生えている。

 特徴はそれだけにとどまらずなんと全身の毛がグリーンカラーなのである。


 体毛にあたる毛はやや薄めのグリーンで髪にあたる毛がしっかりとしたグリーン。

 普通の猫の毛色ではないのだが柔らかく自然な色合い。

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