第28話 俺剣士になる
モンスターハウスで死にかけた・・・いやいや死んで蘇った・・・ので地下一階層のお助けルームに逃げ込んで一晩過ごした。
日課の千本素振りをするが体が重い。
どうやら一晩寝たくらいでは貧血状態は改善されていないようだ。
お助けルームは一度出ると一日以上間を開けないと扉が開かなくなる。
ただこのお助けルームにどれだけの時間いられるか分からない。・・・一晩しか泊まった事しかないそれに確かめるつもりもない。
それで体調が完全に戻るまでの間、地下一階層と地下二階層にあるお助けルームを行ったり来たりする事にした。
それに地下一階層と地下二階層のゴブリンはそれほど強くない、お助けルームの間を往復するだけで毎日10体を倒す事になった。
お助けルームを往復をしていると5日後には剣術の見習いが剣士になった。
剣士になるとレベルアップの条件が毎日の素振りが百本1ヶ月になり、魔物を倒す数も1日1体から10体以上になった。
剣士になったからと言って体調が完全になるわけでは無い。
体調が完全に回復するまでにそれから3週間程かかった。
剣士になってからは地下一階層や地下二階層のお助けルームへの行き返りの際にゴブリンをやはり毎日10体は倒していたので3週間後には
『剣術・剣士・上級者レベル3』
になっていた。
さすがに1ヶ月以上も休んだので朝の貧血状態でのふらつきも無く体調は完全回復した。
体調も戻ったことから地下三階層のレベルアップに適したモンスターハウスに何体かのゴブリンを倒しながら戻ってくると・・・残念ながらモンスターハウスから湧き出るゴブリンはいなかった。・・・
更に奥へと進むと前後から
『ヒタヒタ』
と俺に向かって歩いてくる何体ものゴブリンどもの足音が聞こえてくる。
前方に向かって強行突破だ。
通路の魔道具の松明が灯るより早く走り、宝剣シルバーの抜き打ちで前方のゴブリンナイトを一体、面を割って一体、突き刺して一体と倒す。
ゴブリンは光となって消えアイテムをドロップするが拾っている暇はない。
後方からゴブリンが追いかけてくる。
目の前にT字路がある右に向かって進む。
行き止まりでゴブリンナイトが湧き出した。
ゴブリンソードを異空間収納から取り出して投げつける。
ゴブリンナイトはゴブリンソードを胸に生やして光となって消えた。
俺はこのゴブリンナイトのドロップアイテムのゴブリンソードを拾うや後方から追いかけてくるゴブリン目掛けて投げつける。
なんとまあゴブリンソードが1本ゴブリンとともに消えて新たにゴブリンソードを手に入れた。・・・う~んマッチポンプみたいなものだ。
これで残ったのが三体、俺が逆に追いかけるとゴブリンどもはT字路に下がる。・・・場所的に丁度良い!
腰の宝剣シルバーの柄頭で前方の敵を圧しながら右側の敵を抜き打ちで倒し、返す刀で左の敵、最後に前方の敵を切って倒した。
「全日本剣道居合・七本目・三方切」
が見事に決まった。
これで本日10体目だったのか
『本日魔物10体倒したので
剣術・剣士・上級者レベル4
になりました。』
と脳内にいつもの若い女性の声が聞こえた。
ここはまたしてもT字路だ、この突き当りには隠し通路があるのか?
本来なら反対側にも通路があるはずなのだが?
壁を斧で叩いてみた。
『ガツン』『ガツン』『ガツン』『ガーン』
う~ん反響音がする。
やはり丁度反対側が空洞のようだ。
『ガーン』『ガーン』『ガーン』
と壁を叩くと壁が崩れて確かに空洞が現れて、黄金のゴブリンが剣を振り上げて向かって来た。
剣術レベルが上がった御蔭か・・・いつも以上に相手の動きが良く見える!
面抜き胴で切り倒すとパーッと輝いて消えた。
そのあとには小さな宝箱が一つ残った。
こんな小さな宝箱はミミックのはずがないと開けようとすると噛みついてきた。
『クソ!ミミックか!
小さな宝箱と思って油断した。
もう少しで右手を食いちぎられるところだった。』
と毒づきながらそいつを倒すとさらに小さな宝箱が現れてその中から万能薬のエリクサーが入っていた。
万能薬のエリクサーをまたも手に入れたと言うことはこのダンジョン他にも俺が死ぬような目にあったモンスターハウスの様な場所があるのかもしれない。
急いで首からエリクサーを下げる。・・・う~んお守りみたいでなんか安心する。
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