第26話 俺もう一度死ぬ!

 地下三階層の最初の小部屋で死人をも生き返ると言う万能薬のエリクサーを手に入れた俺は次の十字路を今度は右を選んで歩いていくと扉は無いが広い中学校の体育館程の大きさはあろうかと思われるホールに行き当たった。


 ウジャウジャとゴブリンナイトやゴブリンキングが何十体、何百体下手をすると千体以上いるかもしれない。

 これが世に言うモンスターハウスと言う奴か?

 スゲー数のゴブリンだ。・・・う~ん不用意と言うしかない。

 軽く一当てするつもりでモンスターハウスに足を踏み入れた。

 その途端


『ブワー』


という音とともに何百もの矢が俺に向かって降り注いできた。


 あっという間の出来事だった・・・。


 頭を!胸を!足を!腕を!・・・何本もの矢が射貫く。


 両目を!口を!額を!・・・矢で射貫かれている。


 弓矢によって針鼠になって血の海に沈んで亡くなっている俺を前世の時と同様に上から見つめている俺がいる。・・・う~ん俺は死んだのか?


 これから俺は何処へ行くのだ?


 俺の守り刀が死んだ俺から離れようとする俺の魂を引き止める。


 何をする針鼠で俺は死んだのだよ・・・。


 う~ん・・・?


 何?・・何??・・・な~に???


 エリクサーを下げた胸の辺りが淡い光を発している。

 エリクサーの入った瓶を一本の矢が射貫いて割ったらしいのだ。

 その淡い光が徐々に広がっていく。


 淡い光が矢の刺さった部分に近づくと矢が体から押し出されていく。

 淡い光はさらに広がり、次々と矢を体から押し出し・・・最初の矢は遂に体から押し出されて


『カラン』


と言う音を上げて抜け落ちた。

 抜け落ちた矢傷も見る見るうちに治っていく。


『カラン』『コロン』『カラン』『カラン』


と次々と矢が抜け落ちて治っていくが・・・俺は死んだままだよ!


 遂に首から上、口の中から矢が抜け落ち、目の中から矢が抜け落ちる。・・・しかし目から矢が抜け落ちて目が再生されるのは何かグロい。


 最後に額に刺さった矢が


『コロン』


と言う音と共に抜け落ちて、破壊された脳が再生されて・・・守り刀が光・・・俺がこの世に生まれ出た時赤子の心臓を動かした光だ!


『トクン』『トクン』『トクン』


と心臓が動き始めて


「ガハッ」


俺は生き!・・・生き!!・・・生き返ったゾ!!!


 エリクサーの10億円は伊達じゃなかった。

 それに守り刀さんアリガトウ!


 俺は左手の時計のようにしている黄金の盾を展開する。

 右手には俺の心臓を動かした守り刀を握る。

 俺が復活したのに気が付いたのか


『ブワー』


という音とともに何百もの矢が俺に向かって降り注いできた。

 今度はそんな訳にはいかない。

 降り注ぐ矢が黄金の盾によって


『カン』『カン』『カン』『カン』


と音を立てて弾かれる。

 俺を刺した矢や降り注がれる矢を次々と投げ返す。


 俺の投げ返した矢は次々にゴブリンアーチャーに当たって光となって消える。

 次第に矢の数が少なくなると


『ギャワワワワ・・・』


と大声が上がる。

 ゴブリンキングをさらに一回り大きくした頭に冠を被ったゴブリン・・・ゴブリンエンペラーが中央に立ち上がり錫杖を俺に向ける。

 どうやらゴブリンナイトやゴブリンキングに突撃を命じたのだ。


 俺は盾の角を鋭くして盾の攻撃性を高め、守り刀を頭上に掲げると守り刀から


『ズシャシャシャシャ・・・』


と雷光が走る。

 駆け寄ろうとした何体ものゴブリンナイトがゴブリンキングが光となって消える。


 おかげでモンスターハウスの中がある程度スッキリと見通せるようになった。

 モンスターハウス中央の立派な椅子に頭から煙をあげ錫杖にすがる大柄なゴブリンエンペラーがいる。

 その椅子の横にグッタリとしているが明らかに女性の体型をしたゴブリンが杖を掲げて何事か唱える。

 幾つもの魔法陣が明るく輝きながら現れるとその魔法陣から次々とゴブリンナイトやゴブリンキング、ゴブリンアーチャー更にはメイジゴブリンまでもが生み出される。


 この女ゴブリンの召喚士か!

 あっという間に元の木阿弥!

 ゴブリンがモンスターハウスに溢れかえる。

 ならばもう一発!俺は守り刀を頭上に掲げると 


『ズシャシャシャシャ・・・』


と守り刀から雷光が走る。

 湧き出していた何体ものゴブリンナイトがゴブリンキングがゴブリンアーチャーがメイジゴブリンが光となって消えていく。


 魔法陣を造りだしていた召喚士の女ゴブリンも錫杖にすがっていた大柄なゴブリンエンペラーもとうとう光となって消えた。


 生き残ったゴブリンどもも半分虫の息、止めをさして光となって消えさせる。


『シューッ』


と言う音と共に矢が射かけられた。

 どうやら隠れていたゴブリンアーチャーがいたようだ。

 そいつに向かって駆け寄り首を刈ると光となって消えた。

 これでモンスターハウス内には生きて動いているのが俺だけになった。

 さすがにこれだけのゴブリンを倒すと


『レベルが上がりました。』


『本日魔物千体以上倒したので特別ボーナスとして

 剣術・見習い・中級者レベル9

になりました。』


と脳内アナウンスが聞こえた。・・・う~ん中級者レベルも9か次はどうなる? 


~~~~~~~~~~~~~~~

 

種族 --(魔族とエルフ族の混血種)

名前 ボドヴェル・マリヌーバ・ジョー

年齢

 魔王暦24562年1月15日生まれ 9歳

称号 放浪の王子・スライム惨殺者・ゴブリン惨殺者

レベル 33

使える魔法

 身体強化魔法(固有魔法)

 異空間収納(レベル数に応じる)

 異空間販売・異空間購入(水のみ100円・能力購入1回に付き1億円)

能力

 剣術・見習い・中級者レベル9

 レベルアップ酔い耐性

持ち物

 守り刀

 黄金の盾

 宝剣シルバー

 魔法の袋(中の品はステータス画面№2)

所持金 1億2610万5014円


と表示されたのだった。

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