本の神様 番外編

功琉偉 つばさ

たい焼きと君 … 八幡ヒビキさん リクエスト

僕と君が付き合って数日後。昼休み。いつも通り2人でお弁当を食べていると…


「ねえ、れい


「なに?」


「学校の前のたい焼き屋さん行かない? あそこ南校生に有名だけど私実は一回も行ったことがないんだ。」


僕たちの高校、県立南高校の近くには有名なたい焼き屋さんがある。


「そうなの? 愛菜なら行ってそうだと思ってたけど…」


「怪我する前は部活で遅くになってやってなかったし、一人で行くのはなんかやだったし…私達せっかく付き合ってるんだからさ。」


「いいよ。別に図書局もやらなきゃいけないことはないし、今日の放課後に行こうか。」


「やった!じゃああと授業3時間頑張るぞ! 次の授業なんだっけ?」


「えっと…論国、物理、数学かな?」


「えっ、物理… なにほんとあれ意味わかんない〜」


「後で教えてあげるよ。」


「さすが私の黎、ありがとう♡」




なんやかんやで授業を終えて放課後になった。


「よし!行くぞ!」


「はいはい。というかその前に掃除だよ。」


「えっ…今日、当番だっけ?」


「そうだよ。物理教室。」


「また物理〜もうやだ!」


「そんな事言わないで行くよ。」


「一日くらい掃除しなくてもいいじゃん。」


そうやって駄々をこねる愛菜を連れて掃除をした。


「よし!今度こそ行こう!」


2人が向かったのは南高校の道路を2本挟んだ奥のたい焼き屋さんだ。

このお店は創業50周年にもなるまあまあ歴史あるお店だ。

できたての美味しいたい焼きを一個280円(税込み)という安い値段で食べることができる。


「どうしようかな〜定番のあんこもいいし、クリームもあっあとカスタードもいいな〜どうしよう。2つは食べれるけど3つも食べれない〜、あっアイスに乗っけれるやつもあるんだ〜。あ〜どうしよう♡」


「僕は普通のあんこの小倉でいいかな。 はんぶんこにする?」


「えっ!いいの?やった! じゃあ私は生クリームのアイストッピングと、カスタード。」


「で、僕が小倉ね。買ってくるよ。」


「えっまさか奢ってくれるの?」


「いいよ。買ってくるね。」


「本当に神! 黎ありがとう!」


「どういたしまして。」


そうして出てきたたい焼きはホカホカでもう春だというのに割ったら湯気が出てきた。


「はい。半分どうぞ。」


「わ〜い。ありがとう♡私も生クリームのを半分。」


『いただきます!』

お店の前には小さなベンチが置いてあって2人で座って食べることができた。


「お〜い〜し〜い♡ パリッ、ふわ〜 あま〜い。 本当にアイスとよくあうね。」


「本当だ。しっかりあったかい。 美味しいね。」


「うん! 黎ありがとう。」


「何回ありがとう言うのさ。まあどういたしまして。」


2人で初めて食べたたい焼きはとても甘くて、あったかくて…

今日も一日頑張ってよかったと思えるような美味しさだった。


「また来ようね。」


「もう食べ終わったの!?」


「うん! 美味しかったんだもん。 次は他の味も食べたいな。 なんかいろいろな餡があるんでしょ。」


「すごいね…」


その日の夕日はとても綺麗で町並みと帰り道の僕らを赤く染めていった。

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本の神様 番外編 功琉偉 つばさ @Wing961

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