吹雪の奥の最強夫婦、近隣国家の学園に通う

SCⅫ(サソリ)

第1話 プロローグ

「はぁ、なんで俺たちはこんなことしなくちゃいけないんだ。」

「しょうがなだろう、このアビュー雪原の異常気象は本当におかしいんだ。」

「団長、そうは言ってもよぉ、別に死傷者が出たわけでもないのに……」


彼らはここ、アビュー雪原のあるベルセナ山脈から南下したところにあるアルスキカ王国の王都の兵士団。


所謂エリートと呼ばれるような人たち。毎年、この兵士団から希望者が王城直属の騎士団に入るための騎士団入団試験は王都中からギャラリーを呼んでいる。


そんな彼らの下につい先日、宰相からの依頼が舞い込んできた。


《アビュー雪原の天候がおかしい》


端的に言えばそういうことだった。アビュー雪原の中心の湖には毎年、氷が張っていて、その下には珍味と名高い魚であるバスキーが捕れるのだが……


今年はその時期を目前にしてなぜか吹雪で荒れ始めた。この時期は天候が落ち着き始めるはずなのに……


もしもこのままバスキーの時期までに吹雪がおさまらなかったらバスキーが捕れない、ということでイレギュラーな天候の調査に兵士団が送られたのだ。


団長、ヘルン・ビズを代表に5人程の調査隊がアビュー雪原を進む。


同行している天候を調べる天候師によると、この吹雪は人為的なものである可能性が高いらしい。


「ん?あれは……」


兵士団一行が道中に現れる魔物を討伐しながらも、吹雪の中を進むと、ぼんやりとした明かりが見えてきた。


「団長、なんか光見えませんか?」

「ああ、あれは……小屋か?」

「ははっ、幻覚でも見えてるんですかね?」


さらに近くで見ると、確かに小屋があった。しかし……


「なぁ、俺たち三か月前、ここで対魔物の訓練をしてたよな。」

「ああ、してましたね。」

「こんな立派なつくりの小屋なかったよな。」

「ありませんでしたね。」

「こんな小屋、三か月そこらでできると思うか?」

「父が大工なんで断言できます。無理です。」

「……入るぞ。」


ヘルンを先頭に鍵のかかったドアを剣で無理やりこじ開け、中に入る。。


「あったか……」


兵士の一人がそんなことを言う。

声には出さないがヘルンも同じことを思った。

この小屋の外が猛吹雪ということを感じさせないほどにこの小屋の中は快適だった。


そして小屋を捜索していくと、部屋を見つけた。


その部屋には人二人が入れるほどのベッドと、バスケットが置いてあった。


そのバスケットにはこの小屋の家主の飼い狐だと思われる銀狐が眠っていた。とても大切にされてる様で、バスケットの中で毛布にくるまって寝ている。


「ひゃ~銀狐なんて珍しい。ここ一帯じゃ絶対に見ないぞ。」

「売ったらいくらになるんかね。」

「おい、あの狐は飼い狐だ。飼い主がいるだr」



「おい、お前ら。何をしている。」



おぞましい殺気と共にこの小屋の家主のものだと思われる声が響く。


この時、ヘルンは察した。


(こりゃあ、選択をミスると死ぬな……)


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皆様初めまして、SCⅫ(サソリ)というものです!

不定期投稿で話は進めるので、ふとした時に見てくれると嬉しいです。

コメント・フォローなんてしてくれた日にはハグしちゃう、

ぎゅ~~~~~



はぁ、僕何やってるんだろ……

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