魔導士として生きていくということ

棒王 円

call・0



大きな古い日本家屋が自分の家だった。


昔から守る神のいる、巫女の家系。御陵家。

僕と兄がいて、修行をして不思議な力を得て、跡継ぎを決める。

年齢ではなく、実力主義だと決まっていた。


だからこれは実力行使なのだ。


兄が自分の首を絞めているのも。


「お前さえいなければ」

泣きながら首を絞めている兄。

仲は悪くなかったと思う。


僕の手を引く兄は、笑っていた気がする。

一緒に修行をしても、教え合ったりしていた。


けれど。

瀬尾様の声を聞けたのは、僕だけだった。

神の声を聞けば、当主が決まる。


その日の夜に兄は泣きながら、僕の首を絞めた。


今となっては、何が目的だったのか分からない。


当主になりたかったのか。

人身御供になる、僕の身を案じたのか。


今となっては確かめる術がなかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る