出会い

「お兄さん、何しようとしてるの?」

 俺は黒髪碧眼の美少女に話しかけられた。俺はこんな状況でも、どうせ俺の顔目的なんだろと考え軽い女性拒絶のような物を起こしている。改めて、過去の自分との乖離を痛感し、死にたくなってきた。

「自殺だよ」

 絞り出した声は震えていた、ホストの自分でも、アイドルの自分でもなかった。

「少しだけ死ぬの待ってくれない?話聞くから。こう見えて私雑談得意なんだ、お兄さんにはこ特別に私の秘密教えてあげるから。話そ。」

 俺は話し方、特に間の取り方、息の入れ方、入れる場所、笑顔などの要素から、この子がアイドルであることを察した。そもそも俺が自殺するために選んだこの雑居ビルは昔アイドル事務所があった。倒産してからは、会社持ちであり続け、元所属アイドルたちの居場所になっていた。だから、アイドルなんじゃないかと話しかけられた時点で思っていたが、確信に変わった。花束を持っているので、事務所があった頃からの慣習となっている、売れたら社長室に花束の献上を行いにきたんだろう。羨ましい。そしてこの子には、話してみたいという謎の感情が芽生えた、これは、アイドルやホストが使う話術だ。俺が一番得意なことだ。話術とわかっていながらも、俺は話すことにした。

「事務所が倒産して、ホストになった。ただ、僕の所属するホストクラブの女を人と思っていない考えに染まって、そんな自分を嫌に思って、だけど、自分の根幹のようなものはもう残ってなくて、自分を抜かれ、新しい自分にさせられた、いや、自分からなってしまったのが嫌で、死のうと思った。」

「なるほど、これは言葉では救えないね。だから、君はアイドルだった君に戻りたいんでしょ。」

「だけど、それが無理だから。」

「私の事務所に来なよ。一からやり直せばいけるって、社長もいい人だし、君のような最高の人材だったら、うちからデビューできるよ。」

「待って、だから「君はアイドルになりたいんでしょ、そして私は君を死なせたくない。」

 確かに冷静に考えると、最善の手だ、自殺がどうでも良くなるほどに。けど、女性という懸念点がある

「わかった。その事務所に所属したい、けど、女性にガチ恋されるのは、今の自分には無理だ。嫌なループに入って、自分を責めてしまう。」

「わかってる。私はね空気が読める女なの。君は私のようなアイドルオーラを纏った女性とは話せると思うの。だから、いい案があるの。」

 美少女の一言によって、俺はアイドルに戻ることを決意した。

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元アイドルのNO1ホスト、男の娘VTuberに転生する @ruiyodo

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