“キミの彼女、僕にくれませんか?”

神石水亞宮類

第1話 “キミの彼女、僕にくれませんか?”




“キミの彼女、僕にくれませんか?”


俺の周りにこんな事を言う奴が現れた!

もうこんな事を言う奴なんて、気味が悪くて誰も近づこうなんて

しないと俺は思うんだ!

そもそもなんで、“付き合ってる彼女をそいつにあげなきゃなん

ないんだよ!”


【俺の彼女は、物じゃない!】



・・・そりゃ、彼女が俺じゃなく! アイツを選んだなら俺だって

彼女の事を諦めるしかないが。

そうじゃないなら、どんな事があってアイツにやる訳にはいかないよ!


でも、俺がそんな事を考えてるのを知ってか知らずか?

アイツは俺に付き纏うようになった!

そして禁断のあの言葉を、、、俺の彼女が居る前でも言うようになったんだ!


“キミの彼女、僕にくれませんか?”


気味が悪すぎて、彼女もドン引き!

俺は彼女を連れて直ぐにその場を去ったよ。

彼女も後からアイツの事をいろいろ俺に訊いてきた!



『”あの男性、誰なの?“』

『俺も知らないよ、急にあんな事言われても、俺も迷惑してるんだよ!』

『“どんな事があっても、私をアイツにあげないでね!“』

『何言ってんだよ! 物じゃないんだからあげる訳ないだろう!』

『・・・そ、そうだよね、良かった。』

『何? 俺がゆりかをアイツにあげるとでも思ってたの?』

『そんな訳ないじゃん! 別に何にも心配してないよ。』

『当たり前だよ! なんの心配もしなくていいに決まってんじゃん!』

『・・・そうだよね。』

『うん!』





 *




・・・でも1ヶ月後、俺はしぶしぶアイツに彼女をあげる事になったんだ。

仕方なかったんだよ! 急に親父の会社が倒産して、サラ金業者から借りた

利子が高くて返せなくなり、お金が回らなくなったんだ。

親父はその後、首を吊って死んで母親も親父の後をお追って1週間後に自殺した。

俺は一人っ子だったから、全ての親父の借金を背負う事に。

そんな時、アイツが俺の前に現れてこう言ったんだよ。



『お前の彼女を俺にくれたら、お前の借金のお金はオレが全て返してやるよ!』

『・・・えぇ!? 本当か?』

『あぁ!』

『“もう一度聞くが? いいんだな、オレにお前の彼女を貰っても。”』

『・・・あぁ、』

『その言葉! 信じるよ、ありがとう。』

『必ず! 俺の借金を全て返済してくれよ! 約束してくれ!』

『あぁ、勿論だ! 約束だ!』

『・・・・・・』



・・・俺はなんて事をしてしまったのか?




 *




・・・それから数日後。

”俺の彼女は、アイツの彼女になったんだよ、”

そんな恐ろしい事があっていいものなのか?

俺はお金の為に、アイツに彼女をあげてしまったんだ。

後悔しても、後悔しきれない事を俺はしてしまった!



その後、一度だけ!

アイツと彼女が二人で歩いているところを俺は目撃する!

俺は急いで彼女にもう一度、俺とやり直してほしいとちゃんと謝りに行こうと

したら? 彼女は一切! 俺の方を見る事なくアイツと一緒に行ってしまった。

俺のした事は、、、もう”犯罪なのだろうな、”

俺は罪を犯した、大きな罪を、、、。



・・・ただ今でも想うのは?

何故彼女は、本当にアイツの物になったのだろう?

イヤなら、アイツから離れればいい。

何故アイツは、俺だったのだろう?

急に親父の会社が倒産なんて、絶対にあり得ない話だよ!


”アイツが裏で手を引いたのでは、、、?”



だが、もうどんなに俺が考えても彼女は俺の元へ戻って来ることはない!

それに、彼女のあの言葉が今でもずっと引っかかっている。

”どんな事があっても、私をアイツにあげないでね!”

あの彼女の言葉は、本当はどういう意味だったのだろう?

【あの言葉に本当は大きな意味があったのでは?】

ふと、そんな事も考えるんだよな

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“キミの彼女、僕にくれませんか?” 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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