夢ならばの景色ℙ

変わる世界・A Changing World

ふぅー。やっと午後の講義が終わったー!!!

家でゲームしたい気分だけど疲れがやばいから今日は帰ったら早めに寝ようかな。

そう思いながら築25年のアパートの階段を登る。年季のせいなのか階段はギシギシ言ってる。

鍵を開ける。

ただいまー!俺の家!おかえり!俺!

日頃の疲労だろうか。バイトや講義の疲労でベットに飛び込む。

そのまま俺は深い深い眠りについた。


———————————————————


「おはよーございます!!って、どこやここー!!!」

え?夢?夢だよね?夢やな?だめだ頬を叩いても目覚めない。現実だ。

「いつも、夢ばっか見るのに今日は現実主義者ですね。」

後ろから声がする。

俺は振り返る。そこには俺より少し下ぐらいの女の子がいた。

「あんた誰?」

「し...失礼ですね。私はアンナと申します。人間でもわかるように言いますと...神様ですかね。」

「神様が人間に何のようですか。早く天に召されてください。」

「死人のような言い方!」

その子はアンナというみたいだ。たしかドイツにいる名前だよな...

「ま...まあいいです。あなたはとりあえずここから死なない限り出れないようにしといた...」

「おう。じゃああそこの海に飛び込んでくるわ。」

そういって俺は後ろにある海を指差した。

「早まらないでください。続きですが、一応死なないようにはしてるはずですが...何か不調でも起きたんでしょうか、死んでも帰れなくなってしまいました。てへ。」

可愛い子ぶってるがやってることは全然可愛くない。

「てへじゃねぇよ!お前自分がやったこと分かってんのか!」

と俺は拳を握りしめる。

「まずそれ以前にあなたがここに来たのが天界のバグなんです。私たちは日々バグを起こさないように執念深く仕事をこなしてるのですが、私たちが目を離してる隙にあなたの睡眠を確認せず、死亡扱いにしてしまって...」

「お前そろそろいい加減にしろよ?」

「じゃ、そこで!」

そういって目の前から一瞬で消えてった。

「あ、おい!」

チッ。逃げられちまったよ。本当にアンナは何を考えてるんだか...

「何してるの?」

後ろから声が聞こえる。俺はさっきのアンナのこともあり少しイラついていた。

「あ?今度は誰...ですか?」

俺は自分の態度を途中から改めた。

「ん?さっきキレてたわよね?」

痛いところを突かれちまった。

「いやいや。キレてません。キレてませんよ。」

と俺は口をとがらせごまかす。

「怪しい...」

「まあいいわ!私の名前はエルヴィーラ・ラピーノ。里のみんなにはエルヴィって呼ばれてるわ。」

とエルヴィと名乗るものは自分の胸を指差し得意げな顔で自分の名前を言う。

「え?え?いきなり名前?まぁいいか。」

「俺の名前は山本英明。よろしく。」

と俺も名前をいい。握手を交わす。

「ん?もしかして外の人かしら?語感的に日野の人?」

「え?ヒノって何ですか?」

「日野って言うのはここの国から海を渡ったところにある国の名前よ。ここはイーノっていう国の名前。もしかして日野からいらっしゃったの?ようこそ!イーノへ!うちに来て!ご馳走するわね!」

「いやあの別に...」

「いいから!いいから!美味しい料理いっぱい揃えてあげる!好みは後で聞くね!」

といい、俺の話を一言も聞こうとしなかった。



———————————————————

「え?ここって、、、」

「そう。ここが私の家!私の家、レストランなの!」

「え?でも両親とかは...」

「大丈夫よ!親元を離れてるから!」

俺より明らかに幼いのにもう親元を離れてるのか?最近のやつはすごいな。

「これが私の夢だったの!両親も応援してくれてる!とりあえず、入って入って!」

「あ、あー。お邪魔します...」


エルヴィがメニューを持ってくる。そして机に置いて聞いてくる。

「とりあえず、何食べたい?」

「うーん、、、そうだなあ。ピザとかってあるか?」

「ピザね!わかった!ちょっと待ってて!」


その時、玄関の鈴の音が鳴る。

『チリンチリーン』

「やっほーエルヴィ!ん?店やってねぇのに客いるじゃねぇか。なんだ彼氏か?」

「違うわよセコンダ。」

と明らかな地声で厨房から微かに聞こえる。

「ちわっす。」

「よお!私の名前はセコンダ・ガッローネ!よろしくな!」

「あ。よろしく。」


「セコンダも丁度いいわね。今丁度ピザが焼けたのよ。」

といって厨房から出てき、トッピングがたくさん乗ったアツアツのピザが運ばれてきた。

「ヒデアキもお待ちどうさま!」

「ん?お前ヒデアキっていうのか?どうりで日野っぽい顔つきなわけだ!ヒデアキ、ピザもらっていいか?」

「うん。いいよ。」

そういうとピザの1/3を持っていかれた。

「セコンダ!食べながら喋らない!」

厨房から声が聞こえる。

「ヒデアキだって食いながら喋ってんじゃねぇか!」

「あんたの場合は口が開きすぎなのよ!ほーら!いっぱいこぼして!」

とティッシュを持ってきて、セコンダの服を拭く。

「え?そ...そうなの...?どうなの...ヒデアキ...」

そうなことをしている間に俺は食い切っちまいそうだ。

「いいのかセコンダ?全部食っちまうぞー?」

「やめろ!ヒデアキ!私の分もちゃんと残しとけよ!」

「はいはい。」


でも、この世界も愉快で、現実よりかも悪くはないかもしれない。

だけど、次の日。俺は衝撃の事実を知ってしまう。


つづく

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夢ならばの景色 石崎あずさ @kinntarou0413

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