黒菊源中学校へようこそ

三つの謎（Part 1）

「はじめまして、白谷クリスタです。 アメリカから来ました。菊崎中学校の新しいALTです。 よろしくお願いします。」

私は教職員の前で深々と頭を下げた。

みんな優しく挨拶をしてくれた。

私はハーフですが、日本に住むのは初めてです。 私の両親は、私が生まれてすぐにアメリカに移住しました。 それ以来、私は25年間ずっと日本以外の国で暮らしてきた。 母が亡くなってから、私は自分を変えたいと思うようになった。 それで、25年ぶりに母国に帰ることにしたんです。

「Wow, your Japanese is very good!」

副校長の柳が言った。 彼女は握手を求めてきた。 彼女が英語を話せることに驚いた。 私はお返しの握手をした。

「ああ、柳さんは英語がわかりますか？」

「はい、以前英語の教師でした！ 何か必要なことがあれば、遠慮なく質問してください」

「ありがとうございます！」

「白谷...って日本人の名字ですよね？ ハーフですか？」

「両親は日本人ですが、ずっとアメリカに住んでいます。」

「そうなんですか？ どうりでネイティブっぽいわけだ！ だから読み書きは簡単でしょう？」

私はぎこちなく後頭部をこすった。

「こんなことを言うのは恥ずかしいのですが、日本語の読み書きができない。」

「そうなんですか？ では、英語主任の先生にお願いして、重要な書類の一部を英語で渡してもらうことにしましょう」

「それはとてもありがたいことです」

私はもう一度深々とお辞儀をし、別々の道を歩いた。 私は新しい仕事の文化や環境に慣れ始めた。 日本の学校はアメリカの学校とは全く違っていた。

高校時代、みんな騒がしくてうるさかったのを覚えている。 昼食をとるときはいつもゴミが散乱していて、自分の声が聞こえないこともあった。

しかし、日本の学校はすべてが整然としていた。 すべてのことにルールがあり、生徒たちはそれを厳格に守っていた。

もちろん日本にも乱暴な生徒はいたけれど、私がいたアメリカの学校ほどではなかった。 それは文化の違いであり、生徒からの期待の違いだと確信していた。

ある日の準備時間、野川先生と吉田先生が面白い話をしているのを耳にした。

「3年1組の山田が泣き止まないと、生徒が駆け寄ってきた。」吉田先生が言った。

「へえ、そうなの？ 何があった？ 」

野川は椅子を吉田の方に向け、熱心に耳を傾けていた。

「掃除の時間でした。 何があったのか見に行くと、山田が涙ぐんでいた。

何があったのか聞いたら、バケツに水を補充しようとしたら、

上から何かが垂れてきたんだって。」

突然、職員室にいた全員が静かになった。

野川は吉田のほうに椅子を向け、じっと耳を傾けていた。

「何かが垂れているわけがないでしょう。

この学校は2年前にできたばかりなんです」 野川は言った。

「私もそう思った。 しかし、彼女は続けて言った。

何が垂れているのか見上げると...... 」

その場にいた全員が息を止めた。

「2階から1年生によだれが垂れてきたんです。 唾液が口の中に入ってきて、すごく嫌だったそうです。」

誰もが声をあげて嫌悪感を示した。

「まさか！」

「うわ、吐きそう。」

「 1年生が本当にそんなことを？」

「それを聞いて立ち直るのに少し時間が必要だ」

みんなは自分の仕事を続け、その結果、部屋は活気と会話の慣れ親しんだハミングで満たされた。

「ああ、今、そのことで彼らの両親に電話をかけなければならない。」

吉田はうめき声を上げた。

「また幽霊事件かと思ったよ」

野川が言った。

彼は椅子に座った私の方を向き、こう尋ねた。

突然、私も話に加わった。

「何を聞いたんですか？」

「生徒が見る幽霊 」と答えた。

吉田は椅子にもたれかかった。

「ああ、それ？ 子供たちの作り話だよ」

「たとえ作り話でも、めちゃくちゃ怖いんだよ。」

興味がわいたので、

「生徒たちは何て言っているんですか？」

と聞いてみることにした。

「ほら、クリスタ先生みたいに興味を持ったらどうですか？」

野川は口を尖らせた。

「野川君のようにみんなが幽霊を信じているわけではない。 それにしても、ゆうれいオタク。」

「うるさい！ 少なくともこのヲタクはお前よりは個性的だ！ だからお前は未婚で子供もいないんだ。」

「お前だってそうだ」

「あの... 」

私はためらいながらも、まだここにいることを伝えようとした。

「とにかく」 野川は続けた。

「この学校には...」と彼はささやき始めた。

「菊崎の3つの謎...本当に聞きたいですか？」

私は息をのみ、首をかしげた。

「わかりました...では最初の話から始めましょう」