前世は破滅ルートだった俺が、一緒に転生した病みまくり美少女を『魔法芸術』で救っていたら、なぜか美少女達の瞳がおかしいです

火水赤鳳

第1話 神との対話

 

「あなたはイデア歴700年に死亡しました。あなたにはイデア歴1000年に転生してもらいます。やってほしい事があるのです」


 気づくと、俺は真っ白な空間にいた。

 目の前には、白い霧に包まれた少女らしい姿の立ち姿があった。

 顔などは霧に覆われていて、何も見えない。服装は高貴で真っ白な、神を連想させる服装をしていた。


「あなたは……神様?」


「はい、そのようなものです」


「やってほしい事というのは?」


「あなたの時代に生み出された兵器、〈試練と向き合う者〉というのがいますね」


 それは俺の事、俺たちの事だった。帝国の改造兵、通称〈試練と向き合う者〉。


「これは神界でも問題になるくらい特異な存在です。貴方たち〈試練と向き合う者〉は、転生しても記憶を完全には失いませんし、姿も変わりません。その身に、強烈な魔力と、異常なまでの未練を秘めているからです」


 そうなのか。

 俺は来世でも、このくだらない人生を、忘れる事が出来ないんだな。


「あなたにやってほしいのは、300年後の世界で、シドメイア魔法芸術学園に入学し、そこに集まる今世の〈試練と向き合う者〉達の未練を解消してもらう事です。そうする事で、〈試練と向き合う者〉達は、正常な輪廻の輪に戻ります。これは必要な事なのです」


「未練を解消、か。それは俺も含めてという事か?」


「ええ、そうです。最終的には、あなた自身の未練も解消してもらいます」


 〈試練と向き合う者〉達の未練を解消する――


 ――それは心惹かれる行為であるように思えた。


 人生において、自分含めて数多くの〈試練と向き合う者〉の不幸を見てきたからこそ、ずっと思っていた事がある。


 ……俺たちは、もっと幸せになれても良かったんじゃないか。


 もっと、満ち足りた日常を送っても良かったんじゃないか。


 苦痛と幻覚で傷ついた心に、安息が与えられても良かったんじゃないか、って。


 ずっとそう思っていた。だから――


 ――俺はそんな逃れられなかった運命に、来世では反抗してやりたいと、そう思った。


「……分かった。その願い、引き受けさせてもらう」


「良かったです。あなたには裕福な貴族の家に転生してもらいます。その後才覚を発揮した上で、魔法芸術学園に入学を希望してください。そこであなたは至高の魔法芸術作品を製作し、〈試練と向き合う者〉達の心を救っていきます」


「魔法芸術……この人生では全く縁が無かったが……なぜ魔法芸術なんだ? そもそも俺に出来るのか、そんなことが?」


「本当に優れた芸術は、人の魂を浄化する素晴らしい力を持つものです。そしてあなたは、出来るのか、と問うのではなく、ただやるだけでいいのです。大丈夫です。あなたには立派な魔法の才能があります。あとは表現する内容の問題ですよ。色々工夫をして、幼い頃から練習してください」


「……ま、神様が言った事なんだ。出来ない事もないか」


「はい……それでは、楽しい来世を過ごせる事を祈っています」


 そして――


 世界は白に染まった――

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