鼓動
「あら?久しぶりの来訪者の気配じゃない。私のところに自分の来訪者が来てくれるなんて本当に数千年ぶりじゃないかしら?ちょっと、色々と高ぶっちゃいそうじゃない。誰かしら、誰かしら?」
「……あぁ、相手はあのよくわからない子と……それと、誰かしら?これは。どこかで見たことのある個な気がするけど……うーん?いや、知らない子ねぇ」
「それに、この魔力は私を執拗に狙ってくれちゃったあの子のものじゃないかしら?……あの子が人間と一緒にいるなんて意外ね?どういった風の吹き回しかしら?私の知らぬこの子、実は何か特別なのかしら?」
「……まぁ、ずいぶんと魅力的な魂を持った人間だこと。長いこと生きてきて一番の輝き……ここからでも魅入られちゃいそうなくらいには魅力的じゃない。まっ、刺激的」
「良いわねぇ。これは……ちょっと私も欲しくなっちゃう」
「……あはっ、睨まれちゃった。ずいぶんとその人間にご執着みたいねぇ?ふふふ、ふふふ、ふふふ……本当に、本当に珍しいことがあるものねぇ?あの子からの■■なんて久しぶりっ。相変わらず苛烈よねぇ?あの子も」
「アハっ、いいな、いいな。私の久しぶりの来訪者に相応しき陣容だこと。よく見ればあの知らぬ子の魔力量は軽く私の数十倍はありそうっ!おかしな、おかしな子もいたものね。アハっ、ふふふ、ふふふ、ふふふ……いいわぁ。これは、私が久しぶりに眠らされちゃいそう。もう魔力が落ちることはないからいいけどぉ。アハっ。それでも眠りは嫌けけど、あぁ……それでも魅力的ねぇ?そう、すべてが魅力的と言えるの。アハっ、何をしようかしら?何をもって遊ぼうかしら?やっぱり、私の名前に従うべきかしら?」
「それじゃあ、憤怒の名に従ってぇ……そのお気に入りを殺して怒りを引き出しちゃおっかな。アハっ」
人類などという矮小な存在の手によって封印されているはずの大悪魔。
原初の悪魔。
原初の憤怒。
それの悪意は、今もなおしっかりと鼓動し続けていた。
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