KONAMI Borders「コナミ境界区域」

「彼」は目覚める。

 まだ真っ暗な夜。 ベッドに、片付いた机。


キウイの置物はこちらを見つめている。

 人生のすべてがこの四角い部屋に整っていた。


窓の外を見渡す。

 横にどこまでも続く分厚い壁が、この先の行方を遮断すると言わんばかりに閉まっている。


風の通りは悪い。


仕方がないので、このまま寝続けることにした。 午前ゼロ時十分の事。


****


「彼」は起きる。

 カーテン越しに日を浴びる。 ベッドに、片付いた机。


キウイの置物はこちらを見つめている。

 人生のすべてがこの四角い部屋に整っていた。


窓の外を見渡す。

 壁が開いていて、向こう側は忙しい生活の姿。


風の通りは、とてもいい。


今こそ外に出るチャンスだ。

 「彼」はそう認識した。


****


外に出た。 午前九時十分の事。


街並みが語る。 おはよう。

人々は行き交う。 おはよう。

自然のさえずりが響く。 おはよう。


すべては完璧かのように見えた。

……KONAMIでなければ。


高いビルの並びが「彼」の見上げる顔に影を落とす。

 今にも倒れて来そうなその佇まいに、もちろん、「彼」は不満を抱いた。


何十年も前からそびえて来たKONAMIに対して仇を討つ事は、達成する目的の内でもあった。


そして、不満が満を期して始まる。

案内は行き届き、武器は揃い、覚悟がされる。


その日が時系列戦争の始まりであった。

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