海無し県。

恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界

海無し県

 ❲ピピピピピ❳。 ガサゴソ。

 ❲ピピピピピ❳。 スッ。

 ❲ピピp❳、 タン。……ムク。

 カーテンを開けても、まだ外は薄暗い。

 彼女は、一つ伸びをして動き始める。

 スマホには『海!!!!!!』という文字。

 短時間かつ静かに、着替えや支度を済まし、車で運転を始める。

 数分も立たずに彼女と同年代の女性を乗せる。これを4回繰り返す。車には5人乗っており、密かな賑わいをみせる。

 高速道路のサービスエリアで車を停め、朝食を摂る。ここで運転手が代わる。

 それから一時間後、磯の匂いがする度に、彼女らは明るい声を発する。

 更に30分後、海水浴場に到着する。日は南南東に昇っている。

 そこから彼女らは、海を、砂浜を、日差しを、人々を、食事を楽しむ。

 楽しんだ。とても楽しんだ。

 夕方になる頃、彼女らを乗せた車が帰路をたどって行く。

 星座が確認できるほど星が見えた頃、彼女一人になった車が、家に着く。

 ベッドの中でスマホの写真をを見ながら、眠りに落ちる。

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海無し県。 恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界 @Nyutaro

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