ブルーレットの街攻略戦
第15話 オクシオーヌ
「あなたのおかげで彼女、すんなり吐いたわ。家族構成から家の場所まで教えてくれたわ。ホント、完全に心が折れてるわね」
あの後女騎士はこの色っぽいねぇちゃんに連れて行かれ尋問を受けた。すっかり素直になっており、聞いていないこともベラベラ喋ってくれたという。
「そうか、そいつは良かった。で、あの女騎士はどうするんだ?」
俺としては是非とも性処理用の肉便器として活用したいんだが。顔も身体もなかなか良かったからな。
「あんたが欲しいなら好きにしていいわよ。もう利用価値もないし」
「マジか。話せるじゃねぇか。えーっと」
そういや名前知らなかったわ。多分ここの中じゃ偉い奴になるんだろうな。俺も活躍してのし上がってやるかな。
「ホルヌス様直属の配下の一人オクシオーヌよ。あなたには期待しているわ」
「直属ってことはここの幹部様か。そういや俺は今後どういう活動をすればいいんだ?」
やっぱり偉いやつか。俺としては美人上司がいいからオクシオーヌの下でもいいな。ご褒美にその身体にありつけたらもっと最高なんだが。
「そうねぇ。先ずはブルーレットの街の攻略かしらね。あそこを占領し、ナトリウム王国を攻め滅ぼす足がかりにしたいのよね」
「戦争中なのか?」
「いいえ。まだ仕掛けていないわ。ナトリウム王国の王都サンカーマで勇者召喚が行われるという情報があったからね。だから調査のために何人か潜り込ませていたのよ。そこであなたを見つけたってわけね」
「それでホルヌス様自らスカウトに来たというわけか。よく見つけたもんだ」
なるほど、なんであんなとこに四天王なんて大物が潜んでいたのかと思ったらそういうことか。配下の報告を聞いて俺に興味が湧いたってことね。
「後で他の勇者召喚で喚ばれた人達のことを教えてもらうわよ。もう敵側に回ったんだから話してくれるわよね?」
「もちろんだ。情報の大切さは理解しているつもりだからな。ちゃんと教えてやるよ」
別に友達でもねーしな。むしろ嫌われてたくらいだから売り飛ばすくらい全然平気だわ。いや、むしろあいつらに地獄を見せてやりたいくらいだ。俺を馬鹿にした報いは受けてもらわんと。
「そう、それは助かるわ。それでなんだけど、ブルーレットの街を攻め落とすのに何か面白いアイディアはない?」
「街を攻め落とすわけだな。だったらあの街に寄生虫を蔓延させて兵士をまとめて病気にしちまえばいい。飲み水や食糧に目に見えないくらい小さい寄生虫の卵を植え付けるのさ」
「そんな寄生虫もいるのね」
目に見えないくらい小さい卵から生まれる寄生虫なんて結構いるぞ。それに寄生虫の定義には原虫なんかも含まれているからな。
「いるぞ。他にも糞便を上手く使えば疫病を流行らせることも可能だろう」
「占領した後に私達が疫病に罹っちゃうじゃない。寄生虫も怖いけど、それはあなたの方でなんとかできるのよね?」
「ああ、呼出した寄生虫は送還や消滅させることが可能だ。たとえ他の卵から孵った寄生虫であってもな」
実は医療面や衛生面でむちゃくちゃ使える魔法なんじゃねぇか?
ウンコ消滅で掃除もできるし寄生虫も除去できる。さらにレベル6には汚物消滅というウンコ消滅の上位互換が存在するのだ。人体に有害な雑菌や腐敗物を消滅させるって全然クソ野郎ちゃうやん。
「……もしかして凄い有能なんじゃないのあなた。寄生虫被害ってのは結構深刻な問題でね。寄生虫が原因の疫病は珍しくもないのよ」
オクシオーヌがニコニコと俺を手放しに褒める。いやー、俺の有能さを理解してくれるなんて嬉しいねぇ。
「あー、なるほど。水を媒介にして広がるやつもいるからな。こっちの世界じゃいちいち水を浄化させて飲む習慣なんてないってことか」
塩素とかねーだろうし、普通に井戸から汲んだ水をそのまま飲むだろ。その水が飲み水として適正かの検査なんてしないだろうしな。衛生管理の行き届いていないこっちの世界じゃ俺のクソ魔法は脅威でしかないだろうよ。
「これは使えるわね。今度の攻略はあなたの力を存分に使わせてもらうわ。手柄を立てられるわよ」
「任せてくれ。俺はこのホルヌス様の下で成り上がってやるよ。武器をぶん回すだけが戦争じゃねぇってこと教えてやらんとな」
よくよく考えたら俺って生物兵器そのものじゃねーか。例えば赤痢アメーバを大量にばら撒けばこの世界じゃ対応しきれないだろう。原因を突き止めることも簡単じゃあるまい。
「ふふっ、期待しているわ。それと、あの女騎士は取り調べた部屋にそのまま置いてきたから連れてっていいわよ」
「マジか! ところで俺の部屋とかってないんすか? できれば邪魔されず楽しみたいんですけど」
「そうねぇ。あなたならそれなりにいい部屋をあげてもいいわね。私の権限で上級兵士棟の部屋を充てがってあげる。その代わり私の部下ってことになるけど」
オクシオーヌが俺の上司になるのか。美人上司なら願ったり叶ったりだ。できればそのナイスバディを褒美として要求したいくらいだぜ。
「大歓迎だな。美人上司なら俺も文句はねぇぜ。これからよろしく頼む」
俺は握手を求め右手を差し出した。するとオクシオーヌも俺の手を取り、がっちりと握手を交わす。
うおお、手やわらけぇ……。いかん、握ってるだけで顔が緩みそうだ。
「ふふっ、頼りにしてるわ。じゃああの女騎士を連れてきたら案内してあげる」
「おう」
俺は早速取り調べを行っていた部屋に入り、首輪と鎖で繋がれた女騎士を引き連れて来た。
「ふふっ、いいザマね」
「くっ……、いっそ殺してくれ」
はい、クッコロいただきましたー。女騎士は生まれたままの姿だったよ。いやー眼福眼福。女騎士は涙目だったが恥辱に堪えて顔を赤らめているのがいい。
寄生虫ダキムを寄生させてイキ地獄ってのも楽しそうだな。もう既に俺のエクスカリバーは準備オッケーだぜ。
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