【下品、胸糞注意】異世界召喚されたけどもらったスキルがクソだった件

まにゅまにゅ

第1章 マジでクソなクラスを手に入れた

第1話 異世界召喚……だと!?

「クソが出ねぇ……」


 俺は草井。便秘症のどこにでもいる高校2年生だ。下の名前?

 どうだっていいだろそんなもん。それより今日も俺は学校のトイレに籠もり便秘と戦っている。もうかれこれ5日も便が出てないもんだからお腹はパンパンだ。


 便秘対策の為にヨーグルト、きな粉、食物繊維系のドリンクと色々試したのだ。そしてもちろん下剤は欠かせない。いっそ便を自由に出せる魔法でもあればいいが、そんなもんあるわけないからな。


「うおおおおおおっっ! 超絶脱糞拳!」


 わけのわからない必殺技を勝手に作り上げ俺は踏ん張る。すると努力の甲斐あり便が頭を出した。


 ぶりっ……。


 で、出るぅっっ!!


 ぶりぶりぶり……!


 そして大量の糞がメントスコーラ並みの勢いで溢れ出す。5日ぶりの解放感は俺に大量の脳汁を溢れさせ、多幸感に包ませた。


「ふおおおおっっっ……」


 押し寄せる快楽に喘ぎ、ため息がこぼれる。そしてその瞬間、俺の足元に謎の紋様が描かれた光り輝く魔法陣が現れた。


「な、なんだ!?」


 眩い光に包まれ、思わず腕で光を遮り目を閉じる。

 そして光が止む。

 そして女の絶叫が聞こえた。


「イヤアアアッッ! へ、変態よ、変態がいるわぁっ!」


 なに!?

 変態だと?

 つかなんで女の絶叫が聞こえるんだよ。ここは男子トイレだぞ。


 恐る恐る俺は目を開ける。すると何故か今俺の周りには見知らぬ人達がいた。周りの奴らは俺を避けるように離れており、そして俺に視線を投げかけている。


 しかもここはどこだよ。俺は便座に座っていたはずなのに、なぜか石床に座っていた。その石床には黄色い文字が書かれている。どうやら魔法陣らしい。


 魔法陣の中には俺以外に夏物の学生服やカッターシャツ、セーラー服を着た男女が2人ずつ。そして魔法陣の外にはまるでファンタジー映画にでも出てきそうな神官ぽい衣装を着た奴らや、豪華な衣装を着たパツキンのイケメン野郎がいる。どう見ても日本人じゃねえぞこいつら。


「おい、お前さっさとズボン穿けよ」

「なんかウンコくせぇんだけど……」


 あ、そういや糞してる真っ最中だった。下半身丸出しじゃねぇか俺!

 ああっ!

 しかもまだケツ拭いてねぇっ!


 それでも俺は慌てて立ち上がり、ズボンを穿く。すると、


「キャアッ!」


 またも黄色い悲鳴があがった。うん、下半身丸出しで立ち上がったからモロに俺の愚息を見られてしまったか。でも見たくないなら顔そむけとけばいいじゃねぇかよ。


 男2人はそんな俺を見て馬鹿にするようにクスクスと嘲笑っている。仕方ねぇだろうがクソしてる真っ最中だったんだからよ。


「すまんな、取込み中だったようだが話を始めていいか。俺はこのナトリウム王国の第二王子ピコスル=ファー=ナトリウムという者だ」


 ピコスルファートナトリウム?

 下剤じゃねぇか。俺も愛用しているぜ。


「やだ、イケメン……」


 クソが。このパツキンのイケメン野郎は王子様だったのか。女どもが赤くなった頬を両手で覆い隠してやがる。他の男どもも面白くないのか仏頂面だ。二人とも十人並みの顔立ちだもんね。

 俺もだけどさ。

 悔しいので下剤王子と呼んでやる。


「まずは勝手にこの世界に呼び出したことを陳謝しよう。そして君達をこの世界に呼び出したのには理由がある。勇者たちよ、是非この世界のために力を貸してほしい」


 なるほど、つまり俺達はこの世界を救うために呼び出された勇者ということか。なんたるラノベ的な展開なんだ。これはあれか?

 俺だけがクソみたいなスキルやらクラスやらで追放されたりしてな。


「力を貸してくれって、何をすりゃいいんだよ。魔王でも倒せってか?」

「話が早いね。実はその通りなんだ。よくわかったね」


 俺と一緒に召喚された背の高い男が口を挟むと下剤王子は驚いて目を見開く。まぁ現代人の俺等にしてみりゃ散々目にした展開だからな。現実に起こるとは思わなかったけどよ。


「なんだこのテンプレみたいな展開は。俺等は勇者様というやつか?」


 俺も便乗するようにツッコミを入れてみた。しかし俺の言葉は誰も聞いちゃいないようだ。全員が華麗にスルーし、下剤王子も何事もなかったように話を続ける。


「そう、実はこの世界は魔族の脅威にさらされている。魔王ゲリベーナ、奴を討ち倒さない限り人類に平和は来ないのだ。そのためには君達の力が必要だ」


 魔王ゲリベーナだと。なんつうネーミングしてやがるんだ。下剤王子と仲良くできそうな名前じゃねえかよ。


「なるほど、そういうことか。つまりこういうことだな。ステータスオープン!」


 俺はシュバッと大きく右手で弧を描き、左手の人差し指と中指を額に当てた。こういうときの定番といえばやはりステータスオープンだよな。


「……なにをやっているんだい君は」


 下剤王子が俺を白い目で見ている。そう、ステータスオープンは失敗に終わったのだ。

 なんで何にも起こらないんだよぉっ!

 俺の決めポーズどうしてくれるんだ。


「ステータスオープンだってよ」

「ゲームじゃないのにね」

「変態の上にバカなのね。救いようがないわ」

「うわっ、私無理……」


 侮蔑の声しかないのか。クソッ、この世界にステータスはないのか!?


「取敢えず君達にはこのマイカードを配ろう。異世界人はこの世界に来るとき、必ず何かしらの能力を手に入れて召喚される。このマイカードに自分を認証させれば君達の能力がわかるはずだ」


 下剤王子は神官達に指で合図を送ると、神官が5枚のカードを持ってきた。俺達はそれを一枚ずつ受け取る。


「認証の仕方は簡単だ。カードを額に当てて認証呪文を唱えるだけだ。さ、カードを額に当て僕の言葉を復唱してくれ」


 俺達は額にカードを当てた。そして下剤王子が呪文を口にし始める。


「ボットンブーリボットンブーリ。偉大なる神よ我が証をここに刻みたまえ」


 なんだよボットンブーリって!


「あの、ボットンブーリって何ですか?」

「我等の偉大なる神の名だが、それがどうかしたのか?」

「いえ、なんでもないです……」


 背の低い女が恐る恐る下剤王子に質問する。下剤王子は不思議そうに眉をひそめて答えた。その答えに女はバツが悪そうに乾いた笑いでごまかす。うん、俺達にしてみりゃ随分と下品に聞こえるもんな。


「さ、早く復唱してくれ」


 にこやかに微笑む下剤王子に促され、俺たちは仕方なくその呪文を復唱するのだった。


 恥ずかち!


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