第1章 出会いのそよ風(4月)

第1話 宇品のそよ風に当たりながら(4月11日)

広島駅から広電宇品線の路面電車で35分程行った所にある宇品地区にあるローソンで買ったマウントレーニアのカフェラテを買って、隣の広島みなと公園の海に近い遊歩道の傍にあるベンチで私1人で海を眺めていた。

今の時期になると、満開の桜のシーズンを迎えて花見を楽しむ人たちで賑やかな雰囲気になっていた。

黒田莢子――。

私の名前であり、平成天皇の娘の黒田清子さんと同じように純粋であるように私の両親が名付けた。

暫くしてから、海の傍のフェンス(?)に左肘を乗せて右手でスマホで写真を撮り終えたと思わしき人が私に声をかけようとした。


「この景色ってぶち綺麗だと思うよね??」

(なんか不良みたいな感じだしさっさと帰ろう)

そう思いながら急いで帰ろうとした時だった。

「その制服って安田(女子高校)じゃな笑」

「そうですけどあなたは??」

どうやら、その女の子はヤンキーではなさそうできちんとした感じで、私と同じ年だろうかというような気がした。

「うちは金本茉莉香じゃけどあなたは??」

その真新しい制服は何処かで見た事があるような気がした。

「黒田莢子です」

「もううちと同い年だから普通でええけんね笑」

その制服は進徳女子高校だった。

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