Dragons second war〜異世界から生まれ変わった最強ドラゴンによる現代無双戦記〜

@saizu

プロローグ1


「これで終わりよ! 魔王、覚悟!」


 魔王の城の最上階にて、勇者である銀色の髪の少女は魔王に対して見栄をきる。


「ぬぅ……何故だ……何故貴様が勇者に味方する!」


 追い詰められ、ボロボロの状態で問いかける魔王、しかしその視線は勇者ではなく、勇者の後ろに向いていた。

 

輝煌龍アルゲルスよ!!」


 魔王の視線の先にいたのは、白銀の鱗に黄金の角と鬣を持つ巨大なドラゴンだった。


「ハッ、よく言うぜ、何度も俺の命を狙ってて、俺が何もしないと思ってんのか。」


「クッ……だ……だが、それでも人間にそこまで入れ込む理由はない筈だ……何故だ! 何故……!」


「……てめえに教える義理は……ねえよ!!」


 アルゲルスは魔王に向かって炎のブレスを放つ、その炎は魔王を包み込んだ。


「グオオオオオ!!」


 魔王は体を焼かれ、悲鳴を上げる。


「グウゥ……」


 そのあまりの熱量によりかなりのダメージを負った筈の魔王だが、それでも倒れない。


「チッ……流石にしぶてえな。」


「そう……魔王は普通の攻撃じゃ絶対に死なない、魔王を倒せるのは……」


 勇者は自身の持つ剣に目を向ける。


「そうだ……その聖なる剣こそが……我を殺せる唯一の武器……しかし……」


 魔王は勇者を睨みつける。


「その剣の力を引き出せるのは勇者のみ……勇者さえ亡き者にすれば……!!」


 魔王の迫力に、思わず勇者は後ずさる。


「おっと、俺がそれをさせると思ってんのか?」


 アルゲルスは自身の翼で勇者に対する視線を遮り、笑みを浮かべて魔王を睨みつける。


「フフフ……」


 しかし、対して魔王はアルゲルスを嘲笑する。


「? 何が可笑しい。」


「もはや……手遅れよ!!」


 魔王は突然頭上に巨大な火球を放ち、城の天井を壊す。


「クッ……何を……!?」


「なっ!?」


「フハハハハハハ、愚かな奴等め、我がこのまま倒されると思っていたのか!!」


 城の上空には、魔王城全てを包み込む程の巨大などす黒い隕石が形成されていた。


「貴様らがここへ来た時から、我は魔力を少しずつこの城の上空に貯めていたのだ!!」


「我はこのままあの隕石を落とす……もはや逃場は無い!!」


「そんなことをしたら、あなたも」


「無論、我も巻き込まれるが……どれ程の傷を負ったとしても我は死なぬ、だが貴様らはどうだ?」


 魔王はニヤリと笑みを浮かべる、対して勇者とアルゲルスの表情には焦りが見られた。


「輝煌龍よ、貴様とてただでは済むまい、ましてや勇者は生身の人間……跡形も無く消し飛ぶだろうなぁ……」


「姑息な真似しやがって、クソが……」


 アルゲルスは悔しそうな表情で魔王を睨む。


「終わりだ、愚か者共よ……獄炎流星撃ヘル・メテオ!!」


 魔王の叫びと同時に、隕石は魔王城に向かって落ちて来る。


「あ……ああ……」


 表情を絶望に染める勇者。


「……クッ……!!」


「えっ……!?」


 しかし、隕石が魔王城に落ちる瞬間、アルゲルスは勇者を両手で包んだ、そして、隕石は魔王城に落下、魔王城を中心に広大な範囲が爆炎に包まれた。


「ヌ……ヌオオオオオーーー!!!」


「グ……グアアアアーーー!!!」


 悲鳴を上げる魔王とアルゲルス、そして、魔王城は跡形も無く吹き飛び、辺りには炎と煙が立ち込めた。

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