175.組閣
「それでは、今後の生徒会に関しての話し合いを行います」
生徒会長選挙が行われた、翌週の月曜日に、生徒会室に集まっている。
集まったメンバーは、旧生徒会役員プラス奈々さんが集合している。
机を挟んで、僕側に春乃さんと奈々さんと陽葵さんが座っている。向かい側には、松本先輩・橋渡先輩・古河先輩・星川先輩が座っている。
もちろん、古河先輩と橋渡先輩の近くには、先生方が立っている。
先日の1件の事情聴取の途中かつ処分が決まっていないので監視の意味もあるのだろう。
本日は、新旧の生徒会長が集まって、今月中に業務の引き継ぎをする事になっている。
現状は、生徒会長は古河先輩で、僕が正式に生徒会長になるのは、来月からだ。
「今日からは、引き継ぎをしてもらう。本来なら、新旧の生徒会長同士なんだが、今回は、事情が事情だからな。異例中の異例だが、教員側から生徒会人事に干渉させてもらう」
すると、生徒会担当の先生は、1枚の書類を取り出して松本先輩に手渡した。
「古河は、選挙当日の事で聴取があるから生徒会長として残り任期の職務遂行は不可能。なので、松本優花が代理生徒会長となる。つまり、生徒会業務の引継ぎは、白村と松本でやるように」
「わかりました」
そう言うと、生徒会担当の先生は、後にして行った。古河先輩と橋渡先輩も監視役の先生に連れられて後にして行った。
聞いた話だが、あの2人は警告処分は妥当だが、内容が無いようなので警告を一気に3枚与えられて謹慎処分になるだろうとの事だ。
「じゃ、生徒会業務の引継ぎの前に……白村くん組閣は順調?桜井さんが、居るという事は順調と捉えてよいかな?」
「順調ですね。あと一人、就任要請を済ませていない人物は居ますけど……」
「それは、誰かな?」
僕は、生徒会室の私物整理を始めている星川先輩を指差した。
「愛理ちゃん?」
「はい?」
急に呼ばれた、星川先輩はこちらを向いた。
「いやぁ~~白村くんが呼んでたから」
「……なに?」
星川先輩は、僕に対して警戒しているような様子だ。
それもそうだ。生徒会長選挙に置いて、ボロ負けを喰らった相手だ。その相手からの問い掛けに警戒するのも仕方が無い。だって、教師陣が退席した後に、星川先輩は、直ぐに荷物をまとめだしたのだ。
「星川先輩。新生徒会の副会長に、就任して頂けませんか?」
「私?選挙で負けたんだよ」
「星川先輩とは、中等部時代の生徒会で、一緒に働かせて貰った時に優秀な方だったと認識しています。それに、高等部の生徒会経験の浅い1年生集団の中で、経験者の星川先輩が居るのは心強いです。どうか、就任して頂けませんか?」
1年生だけでの生徒会運営に関しては、全校生徒も不安を覚えるだろう。その点、星川先輩が副会長になってくれたら心強い。
「愛理ちゃん、なってあげなよ。白村くんは、能力はあるけど、経験値の面で不安がある。それに、中等部時代は、かなりいいコンビだったんでしょう?」
星川先輩は、松本先輩から説得を受けるとまとめていた荷物も戻し出した。
「生徒会長選挙で、優花先輩が、白村くんを応援した理由……わかった気がします」
恐らくだが、星川先輩は、松本先輩に憧れを持っていたのだろう。
「白村くんの要請を受けます」
星川先輩の副会長就任が決まった。
「それで、この子達の役職は?」
「それ、私も気になんるだけど?就任要請されただけで、役職いい聞いてないけど?」
「その前に、奈々さんは生徒会入りしてくれるんですか?」
「するよ」
奈々さんは、部活の関係もあって生徒会入りには悩んでいた。
だけど、あっさりと結論を出したように見える。
「瑛太と話したんだよね。選挙当日に、しきやんが言っていた事も含めて。それでね、瑛太は、サッカー。私は、生徒会で頑張るって決めた」
つまりは、奈々さんはサッカー部を辞めて生徒会に入ると言う事みたいだ。
「随分、すごい覚悟を決めたんですね」
「そらねぇ〜〜マンネリ気味だったし、新たな刺激を求めるのもアリかと」
「生徒会をマンネリ解消に使わないで下さいよ」
「あはは、それより役者は?」
僕は、鞄から教師に渡す予定の生徒会役員の用紙を出して見せる。
「まず、星川先輩。副会長の欄に名前の記入をお願いします」
プリントアウトされている副会長の欄に星川先輩に記入してもらう。
星川先輩の下から春乃さん・奈々さんの順に記入してもらった。
その隣の役職名は空欄だった。
僕は、生徒会長欄に自身の名前を書いてから、2人の役職を書き記して行った。
新生徒会の役職は以下の通りだ。
会長 白村詩季
副会長 星川愛理
書記 住吉春乃
広報 桜井奈々
「皆さんには、以下の役職で僕の支えになって頂きたいです。よろしくお願いします」
「「「わかりました」」」
とりあえず、新生徒会の組閣は、問題なく終了した。
次は、体育祭の運営に関して、教師陣との話し合いか。
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