134.選挙方式
黒宮家との関わりが出来た。それと同時に、ある程度の結果を出さないといけない。
仕方の無いことだ。
結果を残さないのに、春乃さんという従者を付けてもらう理由にならない。
母さんだって、僕と羽衣が黒宮と復縁した際には、本家にいる人並とは言わないが、今まで以上の結果は求められる事は、分かりきっていた事だ。
ただ、子育てにおいての金銭的な部分を考えると、母さんだけでなく僕と羽衣が黒宮の中に居る方が安心感が増すのもわかる。父親の会社が経営危機に陥る可能性があるなら尚更だろう。
だから、母さんは、僕と羽衣に提案して意志を尊重してきた。そして、僕と羽衣は、それに了承して黒宮と復縁した。
だからこそ、結果を残さないといけない。
それに、僕だって将来の事を考えたら黒宮の中で人脈を作る方がメリットが大きいと感じた。
脚の状態もあるので、人と人の交流関係を広げて置くのに越したことはない。ただ、僕には人の交流関係を広げる術を知らない。だから、そこを黒宮に頼れたらいい。
僕を捨てた父親が、1番プライドが傷付く行為は自分の子どもが縁を切った実家と関わりを持つことだろう。
それに、父親に対してやり返すには、黒宮の力を借りたい。そのために、黒宮内でもある程度の存在感を示さないといけない。
そのための、最初の機会は……
2学期に行われる生徒会長選挙で勝つことだ。
1年生から生徒会長になる事は、校則的にも可能だが、茨の道だ。
それは何故かと言うと、前例を辿ると2回程しか無いのだ。
基本的に、2年生の生徒会役員の中で、前生徒会長が推薦した人が次の生徒会長となる事が多い。しかも、それがこの10年以上続いているのだ。
つまり、現段階で1番リードしているのは、古河先輩が自身の後継者と見ている橋渡先輩だろう。
そして、もう1人、星川先輩は中等部時代に生徒会長経験がある。僕も中等部時代にお世話になったことをここ最近思い出した。
例え、僕が立候補するとしても、この2人が8割方の票数を持っていく事になるのは目に見えている。
この学校の生徒会長選挙は、少々複雑化されている。生徒会長選挙前には、一コマを生徒会長選挙に関し得ての説明に費やす位だ。
パターン➀:立候補者が2名の場合
2人のどちらかに、投票をして得票数が多い人物が次期生徒会長になる。
ここ最近は、パターン➀の選挙が殆どだった。その理由は、生徒会に所属している2年生2人が、次期会長の座を争う構図が続いていて、それがデフォルトと化している。生徒会長になるには、1年生のうちに生徒会に入り経験を積んで2年生の際に生徒会長選挙に挑む。
パターン②;立候補者が3名以上の場合
最初の一次投票で、全校生徒の過半数以上の票数を得られ人物が、次期会長となる。
一次投票において、過半数以上の票数を獲得しなければ、票数が1位と2位の生徒2人が決戦投票
になる。
まぁ、1人しか居なければ信任投票になる。まぁ、うちの学校の生徒会長は内心にかなり響くので、2人以上の立候補は集まるのだ。
今年の生徒会長選挙には、古河先輩の支援を得るであろう橋渡先輩と中等部時代に生徒会経験のある星川先輩の2人が出る事は確定している。つまり、パターン➀は確定している。そこに、僕は立候補した場合は、パターン②になる事になる。
ただ、僕が立候補してパターン②になったとしても、僕が勝てる可能性は、限りなく0に近い。中等部時代に副会長として実質的に生徒会長の仕事をしていた実績はあるが、その実績を知っているのは、1年生だけ。2年生3年生の先輩方は知らない。
僕は、8割……いや9割近く票数を持っていくであろう2人の票数を獲得しないといけない。
そのためには、色々な手段を用いないと無理だろう。
1年生の票を集めるとなると、2人必要な推薦人のうち1人は、陽葵さんではダメだ。陽葵さんは、僕と常に一緒に居る。僕と陽葵さんは、ニコイチという認識を同じクラスにされている。
そして、クラスメイトから他クラスの友人にも広まっているだろう。
つまりは、陽葵さんを1年生の推薦人にしたところで、票数獲得には繋がらない。2年生と3年生の先輩方に関しては、松本先輩に要請を出せば、生徒会長・副会長カップルの分裂選挙となり僕に対する関心も深まるだろう。
そして、全校生徒を僕に関心を向けさせるカードは、既に握っている。だけど、全ての選挙戦において頼ってしまうとする。その後の会長就任後のリターンガ大きくなってしまう。
そうなれば、知らずのうちに、傀儡政権の完成だ。選挙に協力を申し出るということは、少なからずのリターンを求められるだろう。
まぁともあれ、とりあえずは推薦人の1人は、1年生から選ぶとしてその人選だ。
僕と関わりがあって1年生内だけでなく他学年でも顔が広い人。
居る訳無いと思う人材は、近くに居た。
その人に推薦人になってもらうべく、まずは外堀から埋めるの事にする。
僕は、プライベート用のスマホを取り出した。
『(白村詩季) 瑛太くんに、お願いがあります』
『(瑛太) 何だ?』
夕方という事もあり、部活動が終わっているのだろう。直ぐに返事が来た。
『(白村詩季) お1つお願いがありまして……』
『(瑛太) 何だ?』
『(白村詩季) 奈々さんを少しの期間お借り出来ませんか?』
『(瑛太) んな、どいう意味だ?!』
『(白村詩季) 別に、寝取ろうなんてしません。それに、僕の脚なら寝取る前に、奈々さんにボコられます』
『(瑛太) 詩季ってそんな冗談言えるんだな。少し引いた(笑)』
突然のお願いに、瑛太くんの誤解を解くべくメッセージを送ったが引かれてしまった。
『(白村詩季) とりあえず、お話だけでも聞いて欲しいので、今度、奈々さんも一緒にランチいかがでしょうか?人数的には、4人になると思います』
『(瑛太) 隣に、奈々が居るから聞くわ』
『(白村詩季)ラのつくホテルに居るんですか?』
『(瑛太) ちゃうわ!部活帰りじゃ!』
瑛太くんは、揶揄うと面白いなぁ〜〜そう思っていると、直ぐに、返事が来た。
『(瑛太) 奈々に確認したはOKだそうだ。日程は――』
瑛太くんと奈々さんとランチをする事が決まった。僕は、1人での外出が出来ないので、同行人を探さないといけない。
僕は、黒宮スマホを取り出して春乃さんにメッセージを送る。
『(白村詩季) 今度、瑛太くんと奈々さんと食事をしますので、僕の補助として同行願います』
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