101.おっぱい

――― 前書き ―――


101話には、少々、性的なシーンもありますので、ご注意下さい!


本編は、10回ほどEnterキーを押してから、貼り付けております。


――― 本編 ―――











「詩季くん、温まってる?」

「はい。やっと、ドキドキも落ち着いてきました」


 一緒に、湯船に入って5分を超えた辺りで、何とか心を落ち着かせることが出来た。最初は、ドキドキがヤバすぎたが、何とか落ち着かせる事が出来た。


 反応していた部分も、落ち着いて来た。


「これ、羽衣ちゃんが知ったら、私、怒られるかな?」

「陽葵さんは、怒られないと思いますよ。むしろ、僕がからかわれるだけだと思います」


 お互いに、一緒にお風呂に入っている状況に慣れてきたようで、雑談出来るまでになっていた。


「でも、羽衣ちゃんなら、私も!って言いそう」

「……陽葵さんは、水着来てくれましたが、羽衣だとそれも無さそうなんですよね。僕が、小学5年生になるまでは、一緒にお風呂入っていたんですよね」


 母さんが、「2人ともそろそろ別々に入りなさい」と言うまでは、一緒に入っていた。


 当時は、そう言われる理由は解らかった。兄妹仲が良いのだから、一緒に入ってはいけない理由が、解らなかったが、今ではわかる。


「昔から仲良かったんだね」

「まぁ、今ではもう2人では入れないでしょうね」

「なんで?」

「羽衣には、向こうに彼氏居ますし――」

「羽衣ちゃん、彼氏居たの!?」


 羽衣からきいているものだと思っていたがそうでも無かったようだ。


「日本に帰って来るって言うからてっきり……」


 誰もが、そう言う反応になるよね。


「国境を越えた遠距離恋愛をするみたいですよ。こっちに帰ったら1年のスパンで会えなくなるかもしれないのに」

「すごいね。好きな人と1年以上も離れるなんて、相当な覚悟が無いと出来ないよね。浮気とかも心配だし」

「羽衣は、凄いですよ。彼女の優先順位では、家族大事にだそうです。男女交際していても家族が最優先で、それが無理ならきっぱり別れると言っていましたよ」

「お兄ちゃん想いだねぇ〜〜まぁ、恋愛って難しいよね」


 そう。


 恋愛と言うのは、難しいのだ。


 付き合った経緯で、男女間で序列が出来上がるのは、ザラではない。恋愛は、告白した方が負けだなんて言葉がある位にだ。

 それに、政略結婚と言う言葉もある位だ。今でこそ、恋愛結婚が定番になっているが、戦国時代なんて、結婚と言う名の嫁さんが人質的存在だったことだってある。今だって、企業間の裏切りが無いように、子ども同士を結婚させるなんて聞いたりもする。


 本当に、お互いがお互いを想い合っての交際の方が、珍しいだろう。


 高梨さんとも、親の事情を含んだ男女交際だったと思う。


「なら、私と一緒にお風呂に入ったと知ったら、一緒に入ろうって言われない?」

「……笑えない冗談を言わないで下さい。陽葵さんは、水着を着てくれていますけど、羽衣は、絶対に着ませんからね」

「いいんじゃないの?兄妹仲良いのよくない?」

「なら、陽葵さんは陽翔くんと一緒に入れますか?」

「えっ、絶対に無理」


 陽翔くんよ。心の中で、背中を摩っておくよ。


「何でですか?僕と羽衣理論なら、陽葵さんと陽翔くんでも成立しませんか?」


 すると、陽葵さんは、苦渋を飲んだような表情になった。


「えっ、普通に嫌なんだけど。だって、兄妹だよ。陽翔にそんな目で見られたくないじゃん。私のナイスバディでオ――」

「陽葵さん、それ以上は、言ったらダメですよ。と言うか、陽葵さんが言ったまんまですよ。僕と羽衣も思春期を迎えた男女です。だからこそ、仲の良い兄妹でも一線を守らないといけませんからね」


 法律で、血の繋がった兄妹での結婚が認められていない以上、一線は守らないといけない。だからこそ、大好きな妹の羽衣が、自分自身のパートナーを見つけた事が嬉しいと思う。


 だからこそ、自分のせいで、国を越えた遠距離恋愛をさせてしまった事を申し訳なく思うし、帰って来て久しぶりに羽衣と生活できる事が、嬉しくも思う。


 まぁ、陽葵さんの陽翔くんの扱いが雑なのは、相変わらずだ。


 と言うか、陽翔くんは、ダメで、僕は大丈夫な基準が解らない。異性の友人より血の繋がった兄の方が、安心なはずだと思うのだが。


「何で、僕なら一緒にお風呂に入っても平気なんですか?水着着てますけど」

「詩季くんだからだよ」


 僕だから、何だと言うのだろうか。


 つまりは、血の繋がった兄である陽翔くんより、異性の友人である僕の方が安心できるという事なのか。


 僕と陽葵さんは、男女の兄妹でないので法律上は、結婚が出来る上に、2人きりだとしたら襲われる危険性も想像していなかったのか。

 いや、僕の事を信頼してくれているから、一緒にお風呂に入ってくれているのだろう。


「ねぇ、詩季くん。……私のおっぱいどう思う?」

「んぐっ……!」


 やっと、落ち着いて来たと言うのに、陽葵さんがとんでもない爆弾を投下してきた。陽葵さんは、自身の片口から見るように言われたので、恐る恐る見る。


 大事な所は、水着で隠れているが、綺麗だと思う。


「大きさもあって、綺麗だと思います」


 言っていてめっちゃ恥ずかしい。


 陽葵さんから聞いて来たから嫌がられているという訳ではないと思う。


「エイッ!」


 僕の掌に、布と素肌が交差して柔らかい感覚が、広がる。突然のことで、軽く揉んでしまい、柔らかさも感じてしまった。


 陽葵さんは、浴槽に入れていた僕の手を掴んで、自分の胸に掌に置いて来た。


 これで、折角落ち着いていたのに、それが無くなってしまった。


「私、おっぱいFカップあるよ……いひぁい」


 僕は、陽葵さんの両頬を優しく引っ張った。


「サイズは、聞いてません……のぼせそうなので、もう上がりますね」


 僕は、陽葵さんに立ち上がって貰い、浴槽から出る。


 ただ、陽葵さんはやり過ぎたかもしれないと思っていそうな表情をしていたので、僕は、誤解をさせないようにしないといけないと思った。


「そっその……陽葵さんの胸……少し、揉んじゃいましたけど……綺麗な形をしていましたし、柔らかかったです。嫌というか、むしろ、嬉しかったです。ただ、これ以上は、ドキドキが凄いので上がります」


 僕は、そう言いながら手すりを頼りに脱衣所に逃げたのだった。


 お風呂場からは、陽葵さんが湯船に勢いよく入ったのだろう。お湯のバシャンと言う音がした。


 と言うか、我ながら、陽葵さんの胸の感想を本人に、よくも詳しく言ったものだな。


 鏡に写る僕は、のぼせたとは言えない程に、顔中真っ赤だった。




――― 後書き ―――


陽葵さんのこの行動が、詩季に、とってなにか認識が変わるキッカケになるのだろうか……

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