祖父との思い出

dede

祖父との思い出


私は小さい頃、おじいちゃんっ子だった。

祖父は穏やかで優しい人だった。

よく祖父の膝の上で、たわいのない事を話したものだ。


話した内容は大抵忘れてしまったが、今でも思い出す会話がある。

幼かった私にはその時意味を理解できなかったが、今になって不思議に思うのである。

たまに思い出してその意味を考えるてみるのだが、祖母も知らぬと言うし、祖父亡き今真相は闇の中だ。

生前知ったつもりになっていたが、きっと私の知らない祖父の姿もあったのだろう。


「ねえ、おじいちゃん。最近面白い事あった?」

「そうだねぇ。あ、そういえば。

この間、『笑止』と打とうとしたら、笑い死ぬの方の『笑死』に変換されてしまって、笑いが止まるどころか噴き出しちゃった事があったよ」

「ふーん、そうなんだ」


……そもそも祖父は、何故『笑止』なんて打とうとしたんだろう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

祖父との思い出 dede @dede2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ