秋
震災の皸越しにただ天の川
震災の
僕の祖母の家は、熊本大地震で大規模半壊してしまいました。建物が傾いて、廊下と居間、風呂場の間には四◯センチ程の隙間が空き、到底、人が住める状態ではなくなりました。土壁も崩れて皸だらけで、屋根もボロボロでした。
その家には叔父が住んでいたのですが、泣く泣く解体することにしたようです。震災の余震が収まって、補助金やらが降りたのは、もう夏になってからのことです。
叔父の新居への引っ越しの手伝いで、僕は取り壊し前の祖母の家を訪れました。ですが、叔父はなにも準備をしておらず、引っ越しの荷造りにはかなり手間取りました。早朝から夜まで作業しっぱなしでした。
やっと荷物をトラックに積み終えて家の明かりを消すと、ガランとした部屋はとても静かでした。もう、二度とここを訪れることもないのだと少ししんみりしていると、やがて目が慣れて、皸だらけの壁越しに天の川が見えました。そこは熊本でも特に田舎ということもあり、悲しい程に星が綺麗でした。
その時の光景を詠んだ一句です。
季語は「天の川」です。
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