漱石の句碑へ誘う如ホタル




 漱石の句碑くひいざなう如ホタル


 熊本市の上江津湖かみえづこの上流には芭蕉園ばしょうえんという、芭蕉が生い茂るエリアがあります。この芭蕉園の湧水はとても清涼であり、五月下旬から六月の上旬にかけては、蛍を見ることができます。

 芭蕉園のすぐ側の林には、かの夏目漱石の句碑があります。漱石が熊本時代に詠んだ俳句が記されているのですが、句碑がある場所はとても静かで、あまり人影もありません。強いていえば、近所の地域猫さんたちがのんびり遊んでいるぐらいです。猫たちはとっても人懐っこくて可愛いですよ。ちなみに、句碑の俳句は以下のようなものです。


 ふるい寄せて

 白魚しろうおくずれん ばかりなり


 で、僕は毎年のように蛍狩にいきます。蛍は数が少なくて、光もとても淡いです。夕闇を、一匹のホタルを追いながら、蛍がよく見えるスポットを求めて芭蕉園周辺を散策していると、あの、漱石の句碑へと辿り着きました。なんとも不思議な感覚に包まれました。

 ただそれだけの俳句です。


 季語は「ホタル」です。



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