第18話 イースの冒険者?の仕事


イースが部屋を出てくると、外にランが待っていた。


ラン「カード無しで冒険者やるんですか?」


イースは黙って頷く。


ラン「・・・他に道は無いですからね。こちらにどうぞ。」


ランはイースを受付カウンターにつれてくると説明に入る。


ラン「難しい事は何もありません。ですが、イースさんはカード無しなので、正式には冒険者では無く、冒険者見習いです。見習いの方でも、薬草を採取してここに持ってくれば納品できますし、荷運びの依頼等も受けれます。薬草採取であれば、薬草の納品数によってですが、小銀貨5枚、荷運びなら大銀貨1枚くらいが1日で稼げます。が、荷運びは一週間に一回くらいしか依頼が無いので、ほとんどが薬草採取になると思います。特に必要な持ち物はありません。以上で説明を終わります。今日は荷運びの依頼はありません。」


イースは紙に薬草採取をしたいと書いてランに見せる。


ラン「分かりました。ヒル草は分かりますか?あとドクケ草は分かりますか?」


イースは父親と狩猟に出た時に教えてもらって採取していたので、黙って頷いた。


ラン「イースさんが納品可能な薬草はその2つだけです。両方共に一株大銅貨5枚になります。見習い扱いなので、町の城門の通行許可書を発行します。有効期限は3ヶ月で、期限が過ぎる前に更新手続きをしてください。」


イースは頷く。


ラン「納品受付時間は朝9:00から夕方6:00までです。お金は納品時点でお渡しします。説明は以上です。薬草は草原や山の中に生えていますが、山の中は魔獣も出るので、イースさんにはオススメできません。自己責任でお願いします。」


イースは頷く。


ラン「最後ですが、ギルドに来たら私のところに来てください。荷運びの依頼があれば教えますので。何か質問ありますか?」


イースは横に首をふる。


ラン「良かったです。では気をつけて行ってきてください。」


イースは頷くと、冒険者ギルドを出て行く。


ラン「はぁ~。無茶して早死にするんだろうな。見習いの人でも死んだって聞くのは嫌なもんだけど。もって一週間かな。」


ランはぼやくのだった。


イースは通行許可書を騎士に見せて町の外に出て草原に行くと、薬草探しを始める。


が、草原に薬草がぜんぜん無いので、山に行く事にした。


イースも死にたくないので、魔獣が出たら逃げるつもりでおり、動物がいたら食糧として狩ろうと考えていた。


まぁ、イースの狩る動物は、実は魔獣なのだが。


イース。そろそろ気づいてよ。

他の人。気づいてよ。


と天の声は呟くのだった。


イースは山に入ると薬草採取を始め、夕方までには10本の薬草を手に入れた。


イースは山から草原に戻ると野宿の準備を始めた。


なぜか?

イースは思ったのだ。


町に入らなければ、人と話さなくて良いと。


ダメだろ!イース!


もう対人恐怖症とかのレベルじゃないぞ!


まさに、キングオブボッチ!


世界の人々には残念ながら、天の声の突っ込みは聞こえないのだが・・・


イースは野宿の準備を終えると、ルーティーンの筋トレを始める。


近場にあった岩を持ち上げたり、下ろしたり、岩を持ち上げたままスクワットしたり、岩を転がしながらダッシュした。


イース「今日も厳しく攻めれたな。でも才能無しの俺が生き残るためには毎日やるしかないよな。才能ある人達って、マジでチートだよな。」


イースはため息をつくと、夕食を作って食べ、冷たい川で体を鍛えて洗い、就寝する。


イースさん。人付き合いがそんなに嫌なんだね。


天の声は同情するのだった。


イースは朝になると、冒険者ギルドに薬草を納品し、すぐに外に出ようとした。


ラン「イースさん。ちょっと良いですか。」


イースは


薬草に何か不備があったか!?


と怯えながら頷く。


ラン「イースさん。服、ボロボロ過ぎです。新しい物を買って下さい。じゃないと、今後、ギルドに入れませんからね。」


イースは、まさか服について注意されるとは思わず、口をポカーンと開けて止まってしまう。


そりゃ、そうですよ。

本当、浮浪者みたいですから。


ラン「分かりました!?イースさん!」


イースが反応しないため、ランが強めにもう一回言うと、イースは慌てて頷き、ギルドから出て行った。


イースは服屋によると、安い綿の服や下着を2セットくらい買うと、お金が無くなってしまった。


イースは町を出ると、山に入り、薬草を探して採取を始める。


イースが薬草を採取していると、フォレストウルフ30匹の群れが現れた。


まぁ、イースから見ると、ただの狼30匹に見える訳だが。


すると、イースの表情が明るくなる。


イース「そうだ!こうすれば良かったんだ!」


イースは何か思いついたようだ。

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