〜入れ替わる僕と私 貴方と貴女〜

まひなーん

1話 コンプレックスだね

〜???視点〜

生まれつき自分の体がとても嫌だ。

極々稀になってしまう遺伝子の病気『前天生遺伝子変異病β』通称TS患者だ。他のTS病とは異なり性別が頻繁に入れ替わってしまう。主な原因としては興奮。ドキドキしたりとかすると変わってしまう。

私的には生活に影響は無い。道端にいる猫ちゃんとかと遊んでいたりするとたまに可愛いなってなって性別が変わってしまうことがある。そこだけは注意しないと行けない。

こんな不自由な身体なのが凄く嫌だ。

仲のいい友達は好きな子に夢中だった。自分の恋愛対象はどっちなのだろうか…生まれつきTSSの私は一度も"好き"という感情になったことがない。

異性という区切りがない。だって私は"両方"だから。小学校を卒業すれば変わると思っていたが何も変わらなかった。みんなは好きな子気になる子がいる。素晴らしい事だし夢中になれるってことが凄くずるくて…ずるくて…なのに私は…

今日も大きなため息をついて学校に行く。

「おはよ〜!凪沙ちゃん!」

「おはよ、結衣今日も可愛いね。」

「それは凪沙ちゃんもでしょ!もうすぐ受験だね…私受かるかな…」

「結衣なら受かるよ。一緒に行こうね。青葉高校」

「絶対行く!あそこ偏差値凄く高いのが凄く辛いけど、凄くいい高校だよね。進学がとにかく強いし支援金も出るし!一番は制服がすんごく可愛いし、種類が多いところ!」

「凄いよね、あそこ。可愛らしいものから威厳が出るかっこいいやつもあるし。」

「うんうん、凪沙ちゃんにはピッタリだと思う。あの軍服みたいなの。すんごく似合うと思う!!!」

結衣には凄く迷惑かけてるな。毎日無気力な顔をしながら登校している私に声をかけて元気を分けてくれる。

「結衣はいい彼女になれそうだね。」

「あは、それ言っちゃう?まだ付き合ったこともないの〜…あんまり人を好きになれないんだよね…TSSなのがひっかかるのかな…。」

普通の子は好きな子がいていいな…私なんか好きかもしれない?やっぱりなんか違うかも…これの繰り返し。

「あ、そういえばね!凄い情報があるの!凪沙ちゃんと私と同じTSS患者の子がいるらしいんだ。青葉高校受けるって」

「そう…なんだ…」

正直嬉しかった。この苦しみを理解してくれるであろう人間が存在した。青葉高校を受験するということはかなり頭はいいだろう。私の中に残っている違和感を解決することはできるかな…人を好きになれたりするのかな…受験頑張ろっと

結衣ちゃんもきっと…恋愛出来ると思うよ…


───────────────

時雨 凪沙(15)

身長_158(168)

TSS-β

好きなこと アニメ鑑賞 ゲーム 猫吸い 勉強

嫌いなこと 陰口 独り TSS

生まれつきのTSS患者。自分の性別がどっちであるかどうか全く分からない。人見知りであり、中学校を卒業するまでは結衣としか喋らなかった。本当は凄く寂しがり屋。

小さい頃、知らない大人にTSSは悪だ、気持ち悪いと言われてから自分が少しでも傷つく可能性があったら自我を隠し周りに合わせることにしている。


日下部 結衣(15)

身長_152

TSS-α

好きなこと 恋バナ 小説 スポーツ

嫌いなこと 陰口 勉強

小学生の時にTSS-αを発症

元々は男だったが、性別はもう戻らない。

自分を庇ってくれた凪沙に凄く感謝している。

凪沙の幼馴染であり唯一の理解者

凪沙の事を一番に思っており、どんな時でも凪沙を傷つけられないように守っている。

元々男だった為、男に恋愛感情がない。


【この小説に出てくる表現について】


TS 肉体的性別が入れ替わること


TSS-α 簡単に言うと普通の性転換。

男→女 女→男の一方通行。

発症すると2週間にかけて発熱や関節痛を繰り返しゆっくり体の中から変わっていく。

普通であれば精神は性転換した性別に引っ張られるが例外あり。

自殺者は少なく自分の元々の性別を忘れてる場合が多い。もっとも多い例


TSS-β

ふとした瞬間に性別が入れ替わる。

ドキドキしたりすると変わる。

好きな相手(気になる相手)の時のみの感情の時に入れ替わる。

発症すると3~7日にかけて昏睡状態に陥る。

精神状態は元々の性別に依存するため恋愛感情が分からなくなったり、精神的不安定になり自殺するケースが後を絶たない。


どちらも深刻な精神不安が起きるためケアが必須である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る