第6話
【ごめんなさい!】
コアルームらしき広い場所に到達したら、コアのマスターらしき透けた身体を持つ男の子が全力で僕らに謝罪してきたのです?
「えっと、君はコアマスター?」
僕が代表して聞くと、その子は涙目になりながらも頷いてくれた。
【は、はい。未熟者ですが】
「それでも、十年はここにいるんだよね?」
【……はい。魔物を生産する以外なにも出来ませんが】
「そう。けど、なんで僕らに謝るの?」
【だ、だってテイマーさんでしょ? 俺を壊しに来たんでしょう!?】
きちんと意思があり、理解力もある。けど、いくらか臆病そうな性格だ。
「そのつもりで来たけど、君は他にも何かしようとしてたの?」
【……見たかったんです】
『何を?』
【外にある、サクラって木を。情報では知ってたけど、綺麗だって】
『『『「へ?」』』』
消えたくない理由が花を見たいこと。たしかに、上司の情報だとダンジョンのこれまでの調査には魔物が大量発生するめでは至っていないとはあった。だけど、十年も育ったのだから、危険に変わりはない。なので、今回僕らが調査に来たんだけど、この様子だと下手に壊すのは可哀そうな気がしてきた。魔物の繁殖は殲滅し過ぎてもいけないのは自然の摂理にも反する。適度に残さないと絶滅したら亀甲していた種族とのバランスも崩れるから。
そう考えると、ここのダンジョンは比較的おとなしい魔物ばかりだった。強さの度合いもまずまずだったし。
【コアマスターとして生まれた時に、外の風景を少し遠し見出来たんです。あんなにも優しい色の花を、自分の眼で見たいって。でも、俺はコアそのものだからここから動けない】
『不可能ではないぞ?』
【え?】
キエラが遮るように言うと、僕も頷いた。
「出来なくはないよ。コアの中心核だけでも掘り出せば、外へは持ち運べる。破壊したことにして、外へ持ち出すことは出来るけど」
『甘い考えだけど、魔物をこれ以上生み出すことさせなきゃいいんじゃね?』
『あたしもそう思う~』
「という意見が多いけど、君はどうする?」
嘘じゃない。
これまでのダンジョン攻略も全部が全部破壊してきただけでなく、ダンジョン利点を生かして存続するかどうかを交渉したこともあった。もちろん、冒険者ギルド的には良くないと思われもしたが、最終的な交渉のおかげで成立した。今回も、村に被害を及ぼさなければ完全破壊する必要はないだろう。報告とかも始末書は書き慣れているから問題ない。褒められたことじゃないけど。
僕は改めてコアマスターに問いかければ、その子は大粒の涙をこぼしながら笑った。
【連れてってください!】
その発言に全員で頷き、コアの中心核を抜き取ってから雲移動で外に移動した。
「はーい。あれが本物の桜だよー」
キエラに頼んで一番見えやすい位置にまで移動してもらうと、コアマスターの男の子は落ちないように雲の上から下を見下ろして喜んだ。
【すごい! 本当に白とかピンク色だ! 綺麗!】
『精霊の里に行けば、緑も赤もある』
【本当!?】
「さすがにすぐに見に行けないけど、まあ機会があればね。ねえ、せっかくだから僕がテイムしてもいいかな? みんな」
『『『賛成』』』
【俺をテイム?】
「ダンジョンコアは初めてだけど、この桜を媒介にすれば器の材料には使えるし」
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