これが若さゆえの過ちアルか?

「ううぅ、お金なくなったアルぅ~」


「どうしたのよ、ミンメイ?」



 私は来日の二日目にして金欠になっていた。

 だって、欲しい物多すぎ!!

 初日に美津葉と八王子の街に出て、あのビルで散財したけど、翌日は別のビルで……



 駄目だ、このままじゃ秋葉原も池袋もいけない!!



 そんな訳で、お昼なのに水を飲んで我慢する。


「まだお昼食べてないの? 一緒に学食行く?」


「お金が無くなったアルね……」


「電子マネーも? ここ中国の電子マネーも使えるよ? 何だっけ、支付宝とか微……何とかだっけ、それも使えるよ? コンビニとかもね」


「それ本当アルか!? 日本は現金主義聞いたアルね!!」


「まぁ、現金も使うって感じかな? スイカとかも便利だしね」


 何と、こっちでもアリペイやウィチャットペイが使えると!?

 私は早速、美津葉と学食に行って支付宝で支払いをすると、何と現時点でのレートで支払えた!?

 まじ?

 だったら銀行や空港で換金する必要無かったぁッ!!



「これ、絶対電子マネーの方がお得アルね」


「らしいねぇ~、お父さんもアメリカドル使って電子マネーで支払いが多いよ最近」


 うーん、ビバ円安。

 私たち外国人からしたら、ただでさえ物価の安い日本なのに更にお得で買い物とか出来てしまう日本は天国だ。

 そんな事考えながら学食でラーメンと肉まんを頼む。

 が、美津葉のトレーを見て首をかしげる。


「美津葉、ラーメンに餃子ってどう言う事アルか?」


「え? 学食のラーメンに餃子セットがお得だったから。私、朝ごはん抜いてきちゃってお腹ペコペコなんだよね~」


 いやいやいや、主食に主食って何?

 炭水化物祭り?


「ないわぁ~アル。中国で主食のラーメンと、主食の焼いてあるけど餃子を同時に食べるのなんて考えられないアル」


「そうなの? 餃子っておかずじゃないんだ??」


「中国だと水餃子で一回にニ十個から三十個食べるアルね。それと、新鮮な餃子は必ず水餃スィジャォにして、翌日とかは鍋貼グォティェ(日本の焼き餃子)にして、やばいやつは油で揚げるアルね。汚物は熱消毒だぁ~アル!」


「最後がなんか変だけど、 餃子だけでもそんな食べ方なんだ」


「そうアルね!」


 そんな話をしながら一緒に食事をするけど、私がさっさと食べていると美津葉は餃子を残す。

 

「なんで残部食べないアル? 日本のラーメンは本場中国より美味しいアルのに?」


「いや、流石に全部食べちゃったら太っちゃうし…… 残り物だけど食べる?」


「もったいないあるし、日本の餃子も食べて見たかったアルね! いただくアル!」



 ひょいぱくっ!



「んむっ! なにこれ、野菜ばっかじゃないアルか!?」


「え、お肉もわずかだけど入ってるよ?」


 驚いた。

 中国でいう菜餃のようだ。

 しかし、なんだろう。

 噛めば噛むほど味わいが良くて、なんか汁もにじみ出て来て……



「う、美味いアルね…… 野菜の癖にアル」


「中国じゃ野菜あまり入れないの?」


「ある事はあるけど、肉主体がほとんどアルね。豚、牛、羊といろいろアルね」


 ま、まぁ我が中華人民共和国の料理をこんな風にするのはまあまあだ。

 美味しいから全部もらうけど、これで勝ったと思うな日本人!!



 * * *



 そう思っていた頃も私にありました。


 その晩、宿舎のご飯で出された中国には無い【天津飯】と言う料理に驚かされ、そのおいしさに思わず日本の中華料理屋さんに心惹かれるのは内緒になるのだった。



 日本、やばいよ。

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