推しイラストレーターとわたしが恋人生活。

西夜空

初めましてと、告白。

第1話

イラスト 』 がえがける才能が欲しい。



というのも、私はそこらにうじゃうじゃ転がっている様な平凡な――普通の女子高生。そんなわたしでも、他の誰にも描けないぐらいの絵を描ける才能があったら、それだけでSNSでは注目されると思う。


なぜか急に流行り出したSNS投稿 場所サイト、『イラポスト』はその名のとおり、イラストをポストする。が由来の、絵師が集まったり、見る専が集ったりする、そういう広場だ。わたしも、アカウントだけは作ったものの、投稿ポストはした事がなくて、今ではすっかり、見る専になっている。絵を描いて、注目を浴びる…!といきがっていた、あの頃のわたしは、黒歴史でしかなくなったわけで、


『タイムライン』を適当にスクロールしていても分かるほど、イラポストに集まる見る専が多い。上手い人ばかりはそうだけど、たった数分でいいねが一万を超えることもあれば、拡散が二万とかを超えるなんて、あったりもする。勿論、それは才能のある人に限られた事だけど、投稿三日目とかで、フォロワー数が八千を軽く超える人もいて、「ほんと、民度いいなぁ」と、つい口に出ている程に、コメントも暖かいものばかりで、SNS特有の『誹謗中傷』が滅多に起こらないという、今の日本では稀なSNSで、誹謗中傷があまり無いお陰か、絵師も見る専も、文章から分かるぐらい、楽しそうにしている。


わたしにも…… 絵の才能があれば、こんな感じで一万いいねとか付いて、注目されるのだろうか…。


そんな事を思いながらみていたのは、ちょうど最近投稿を始めたらしい『久野くの』という人の、個性に溢れて輝いた絵――。素人とは、パッと見の絵では思えないクオリティで、既に反応が多くて、フォロワー数だって十万を越えて、とにかく凄くて、わたしの推しになっていた。気がつけば、という感じで、最初はスクロールして飛ばしていたけれど、一度みたら、なぜかその次もタイムラインに流れてきて、そうしている内に、いいな。と思っていた。


全部いいねもしたし……というか、まだ三枚しか絵を投稿していなかったけれど、フォローとか、通知もオンにしていたと思う。思うというのは、あまり覚えていない。魅力のある絵にばかり、目がいってしまって、正直フォローをしていないかも知れない。いや、したかも知れない。

とても曖昧だけれど、久野先生が絵とか、言葉を投稿する時には、わたしのスマホに通知が届くから、多分オンだと思うってだけ。それから、拡散はしていない。


なんでだろう。


それは、わたしにだって分からないけど、そこまで有名になってしまうと、かけ離れた存在となるのが、嫌だったんだと思う。


まぁ、わたし一人が拡散をしないからといって、有名にならないわけがない。


高嶺になっていく久野先生が、まるでお日様みたいに、手の届かない存在になる気がして、「やっぱ いいね五万すごいな」わたしの押しているいいねを、取り消したくなっていて、あっ。と思って、スマホの上部にスっと出てきた通知を間違えてタップしてしまい、まるで数秒で既読がつく、イタい奴になってしまった。


『お〜い あーちゃん、最近言ってたイラストレーターいんじゃん?』


と、女友達からのディスコードが、やく半年ぶりに動いて、『言ったけど?』少し素っ気がなかったかもだけど、そうしか言えず、返信のところを打つ。


『でさ〜 その久野さんやっけな? 握手会するらしいよ』

『え、ほんと? でも、そんな事、言ってた?』

『イラポスでは言ってないけど、記事でてたよ』


へー、とだけ思って、一応、「久野 握手会」と検索をかけること、数秒で八件、ヒットした。


『うっそ!? 大阪でやんの!?』


地元。そこで、推しが握手会をするのだとか、それも、全部の記事が同じ様な事を綴っていて、多分、嘘とか、デタラメではないんだろう。


行きたい。そう思って、チケット項目をみた。


五千円……たっか。というか、素人で握手会?

そう思って、「久野 イラストレーター」と検索をすると、沢山の記事が出て、素人ではないのか。と、思った。


久野先生は、素人とかではなく、名前を変えて新たにアカウントを作った、いわゆる転生というやつ。で、あってると思う。とすると、素人なのに五万いいねとか、少しだけ不自然だったのも、頷けた。


五千円、高いけれど、行ってみたい。

というか、地元だから、交通費もそう高くはないだろうし。


『ねぇ、よかったら一緒に行かない?』

『あーちゃん、一人で行くの怖いの〜ぉ?』

『うっるさい』


スマホの画面を閉じると、わたし自身の今の表情が、反映されて、瞳が輝いているのを、初めて気がついた。


閉じていたスマホの明かりを、再び目にあて、イラポストを覗く様に、みていると久野先生の、投稿がされていた。




『大阪で、握手会します。』


その投稿には、コメントが数件とかではなく、数百件。


: 楽しみです!

: サイン会とかもして欲しい。

: 詳細みました!久野先生のイラスト本つきとか、お得すぎ。

: 五千円で、握手できて、イラスト本は安い。

: ぜったい 行きます!



今からでも、心臓がドンドン、打たれて、胸に手を置くと響くのが伝わってきて、本当に楽しみでしょうがない。どうしようもない程に緊張をしているんだと分かった。









✿ あとがき ✿


最後までお読みいただいて、ありがとうございます!『イラポスト』っていうネーミング、良くないですか?五分で思いつきました!

本当にそういうSNSないかな

ぜひ、気に入ってくれたら『★★★』よろしくです

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