SF?

崔 梨遙(再)

1話完結:500字

 学生時代から、歳をとって禿げあがるまで、ずっと研究をしていた多田野(仮名)博士。彼が生涯をかけて取り組んできたのはタイムマシンの研究だった。“タイムマシンなんて作れるわけがない!”とみんなから言われ続け、馬鹿にされ続けた多田野博士だったが、彼は決して諦めなかった。そして、ようやくそれは完成した。この時、博士の心は初めて満たされた。まさに、感無量。


「よし! 出来たぞ! 完成だ! 早速使ってみるぞ!」


 腕時計型のタイムマシン。いよいよテストだ。博士は目の前に時計を置き、どれだけ過去に戻れるか実験することにした。


 博士は緊張しながら腕時計の『戻る』ボタンを押した。


 やった! 成功だ! 10秒前に戻れた! って嬉しくねー!


 博士は、今度は未来に行くことにした。緊張しながら、腕時計の『進む』ボタンを押した。


 やった! 成功だ! 10秒後に行けた! って嬉しくね-!



 博士はやる気をなくして研究を諦めたが、更に歳をとり病院で死を待つばかりとなった。博士は、死にたくないのでずっと腕時計型タイムマシンの10秒前に戻るボタンを押し続けるのだった。







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